玉江（読み）たまえ

精選版 日本国語大辞典

たま‐え【玉江】

[1] (「たま」は美称) 美しい入江。

※万葉（８Ｃ後）七・一三四八「三嶋江の玉江(たまえ)の薦(こも)を標(し)めしより己(おの)がとそ思ふいまだ刈らねど」

[2]

[一] 福井市花堂(はなんどう)南端の古地名。一説に同市浅水(あそうず)付近の川とも。葦の名所。

※後撰（951‐953頃）雑四・一二五一「玉江こくあしかりを舟さしわけて誰をたれとか我は定めん〈よみ人しらず〉」

[二] 大阪府高槻市南部、淀川西岸の古地名。現在の三島江の付近。

※堤中納言（１１Ｃ中‐１３Ｃ頃）よしなしごと「たま江に刈る真菰(まこも)にまれ、逢ふ事交野の原にある菅菰(すがごも)にまれ」

[三] 山口県萩市山田、阿武川下流の橋本川河口左岸の漁港。玉江の浦。

出典　精選版 日本国語大辞典

日本歴史地名大系

玉江
たまえ

• 福井県：福井市
• 旧足羽郡地区
• 花堂村
• 玉江

歌枕。歌学書「和歌色葉」「八雲御抄」にあげられ、芦と月の名所として知られた。位置は明らかでないが、花堂（はなんどう）南部の、北陸街道の小江に架かる橋を玉江橋とよび、その付近に想定される。宗祇の「名所方角抄」は「あさふ津と云所に江川有、是を玉江と云」と浅水（あそうず）の地にあてるが、「帰鴈記」に「玉江は、花堂といふ所の道の辺なり、江端の橋といふも名におひておぼゆ」とある。

出典　平凡社「日本歴史地名大系」