積分球(読み)セキブンキュウ(英語表記)integrating sphere

デジタル大辞泉 「積分球」の意味・読み・例文・類語

せきぶん‐きゅう〔‐キウ〕【積分球】

光源光束などを測定するための中空の球。内側に光を拡散する白色塗料が塗布され、球の中心に光源を設置して測定する。

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改訂新版 世界大百科事典 「積分球」の意味・わかりやすい解説

積分球 (せきぶんきゅう)
integrating sphere

内壁酸化マグネシウム硫酸バリウムなどの白色拡散反射塗料を塗った中空の球で,おもに光源の全光束(すべての方向に出る光束の和)の測定に用いる。光源を球の中心で点灯し,壁の一部に小窓をあけて乳白ガラスをはめ込み,また光源の直射光が乳白ガラスに当たらないよう両者中間に小さな不透明板を置く(図)。こうすると乳白ガラスに入りこれを透過して球外の測光器に入る光は,すべて光源から出て内壁に当たり,1回以上無限回までの反射を繰り返した光だけである。理論によれば,このように直射光による分を除いた,内壁からの拡散反射光だけによる内壁の照度は,内壁面上どこでも一定であり,かつ光源の配光(光源の光度の方向による分布)には無関係で,光源の全光束に比例する。したがって二つの光源を順次に球中心で点灯して,そのたびごとに測光器の読みを取れば,光源の全光束の比を直ちに求めることができる。
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世界大百科事典(旧版)内の積分球の言及

【乱反射】より

…反射光強度の分布が入射光の方向に依存せず,反射面を見込む立体角に比例するような場合,その反射面を完全拡散反射面と呼ぶ。内側を完全拡散反射面にした球を積分球といい,形の複雑な物体の吸収率や,光が曲がるレンズの透過率,四方に広がる蛍光の効率などの測定に用いられる。反射【三須 明】。…

※「積分球」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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