マグネシウムと酸素の化合物。苦土(くど)ともいい、工業製品をマグネシア、医薬品をマグネシアウスタともいう。
金属マグネシウムを空気中で熱すると得られるが、工業的には、炭酸マグネシウム(マグネサイト)、水酸化炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどを煆焼(かしょう)して製造する。白色結晶性固体。化学的には比較的不活性で、高温処理したものはとくにこの傾向が著しい。水にわずかにしか溶けないが、希酸には溶ける。空気中で水および炭酸ガスを吸収し、徐々に水酸化炭酸マグネシウムとなる。可視および近紫外光に対する反射能がきわめて大きく、光学機械の反射体、あるいは白色標準として用いられる。工業的には、マグネシアセメントの原料、製鋼炉材、耐火れんがの原料として重要である。ゴム配合剤、医薬(制酸剤、緩下剤)としての用途もある。
[鳥居泰男]
化学式MgO。マグネシアmagnesia,苦土ともいう。金属マグネシウム,炭酸マグネシウム,硝酸マグネシウムなどを熱すると得られる。白色の粉末,融点2800℃,沸点3600℃,比重3.65。Mg2⁺とO2⁻から成るNaCl型のイオン結晶で,カルシウムやバリウムのような他のアルカリ土類金属元素の酸化物よりも反応性に乏しく,水にはごくわずかに溶けてアルカリ性を示すにすぎない。また酸とは容易に反応してその塩になるが,それらの中には比較的容易に熱分解してMgOにもどるものも少なくない。これらの事実は,Mg2⁺イオンがCa2⁺イオンやBa2⁺イオンよりも小さいためにO2⁻イオンとより強く静電気的に引き合い,強固な結晶格子を作っていることを示す。融点がきわめて高いので耐火煉瓦,るつぼなどの製造原料となり,また触媒や吸着剤,マグネシアセメント,医薬品(制酸剤,下剤)などに用いられる。
執筆者:曽根 興三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
MgO(40.30).マグネシアともいう.金属マグネシウム,水酸化マグネシウム,炭酸水酸化マグネシウム(3MgCO3・Mg(OH)2・3H2O)を強熱して得られる.白色の粉末.融点2800 ℃,沸点3600 ℃.密度3.65 g cm-3.水にわずかに溶けて水酸化マグネシウムを生じる.エタノールに不溶.酸と反応してマグネシウム塩を生じる.空気中に放置すると水と二酸化炭素を吸収して炭酸水酸化マグネシウムとなる.耐火れんが,るつぼ,セメント,食品中和剤,脱二酸化炭素剤,医薬品,化粧品,吸着剤(脱臭,脱色),触媒,半導体,耐熱セラミックス,肥料などに用いられる.[CAS 1309-48-4]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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[局所性制酸薬]
塩酸中和後も消化管から吸収されにくい化合物で,粘膜の被覆作用もある。酸化マグネシウム,炭酸カルシウム,水酸化アルミニウムゲル,胃粘膜ムチン,イオン交換樹脂など。二次性酸分泌亢進は起こしにくく,制酸薬として好ましい条件を備えたものが多い。…
※「酸化マグネシウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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