日本大百科全書(ニッポニカ) 「酸化マグネシウム」の意味・わかりやすい解説
酸化マグネシウム
さんかまぐねしうむ
magnesium oxide
マグネシウムと酸素の化合物。苦土(くど)ともいい、工業製品をマグネシア、医薬品をマグネシアウスタともいう。
金属マグネシウムを空気中で熱すると得られるが、工業的には、炭酸マグネシウム(マグネサイト)、水酸化炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどを煆焼(かしょう)して製造する。白色結晶性固体。化学的には比較的不活性で、高温処理したものはとくにこの傾向が著しい。水にわずかにしか溶けないが、希酸には溶ける。空気中で水および炭酸ガスを吸収し、徐々に水酸化炭酸マグネシウムとなる。可視および近紫外光に対する反射能がきわめて大きく、光学機械の反射体、あるいは白色標準として用いられる。工業的には、マグネシアセメントの原料、製鋼炉材、耐火れんがの原料として重要である。ゴム配合剤、医薬(制酸剤、緩下剤)としての用途もある。
[鳥居泰男]