ごんす(読み)ゴンス

デジタル大辞泉 「ごんす」の意味・読み・例文・類語

ごん・す

[動サ特活]《「ごあんす」または「ござんす」の音変化》
「来る」の意の尊敬語。いらっしゃる。
「夜ふけて何しに―・した」〈浄・女腹切
「居る」の意の尊敬語。いらっしゃる。
「塩町辺に縁づきして―・すとや」〈浄・生玉心中
「ある」の意の丁寧語。ございます。
「小さい目は気が―・せぬ」〈咄・鹿の子餅
補助動詞)補助動詞「ある」の意の丁寧語。…であります。…でございます。
「つらいもので―・す」〈浄・大経師
[補説]活用は「ごんせ・ごんし・ごんす・ごんする・ごんすれ・ごんせ」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ごんす」の意味・読み・例文・類語

ごん・す

〘自サ特活〙 (「ごあんす」の変化した語。また、「ござんす」の変化した語とも。活用は(未然)ごんせ・(連用)ごんし・(終止)ごんす・(連体)ごんする・(命令)ごんせ。命令形は、尊敬語だけ)
[一]
① 「来る」の尊敬語。いらっしゃる。来られる。
※茶屋諸分調方記(1693)一一「ようごんした。まづあがらんせ。あのおきゃくもはやおたちなされます」
② 「居る」の尊敬語。いらっしゃる。いられる。
浄瑠璃・生玉心中(1715か)上「きけば姉御さん、堺筋の塩町辺に縁づきしてごんすとや」
③ 「ある」の丁寧語。ございます。あります。
※浄瑠璃・山崎与次兵衛寿の門松(1718)上「先(まづ)大ぶくの口明(あけ)にかはった咄しがごんする」
[二] 補助動詞として用いる。「ある」の丁寧語。ございます。あります。
※浄瑠璃・傾城二河白道(1705頃か)上「うさんな者ではごんせぬ」
[語誌]最初は遊女や遊里の女性語であったが、近世中期から、相撲取り・侠客などの男性も使用し、後期町人などだけではなく国侍なども使用するようになった。

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