ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アワブネガイ」の意味・わかりやすい解説
アワブネガイ
Crepidula gravispinosa; prickly slipper shell
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軟体動物門腹足綱カリバガサガイ科の巻き貝。古くはクルスガイともよばれた。房総半島以南の西太平洋からインド洋にかけて分布し、潮間帯付近の岩礁やアワビなど大形貝の殻表に付着している。殻長径26ミリメートル、殻短径約20ミリメートルの楕円(だえん)形で濃紫褐色。普通の巻き貝と異なって膨らみは弱く、いわゆる耳形。螺頂(らちょう)は後方に偏り、殻表は黄褐色で短いとげ列がある。殻口は広く、薄い白色の隔壁があり、英名のようにスリッパ状で蓋(ふた)はない。一生のうちに性転換をし、小形のときは雄で、大形になると雌に変わる。雌は足の下に数個の卵嚢(らんのう)を束ねて産み付け、母貝はそれを保護して移動しない習性がある。
[奥谷喬司]
…性転換をするので知られるカリバガサガイ科の巻貝。別名アワブネガイ(泡船貝)。殻の内側をキリストを祭る厨子(ずし)に見たててこの名がある。…
※「アワブネガイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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