オルドス(市名)(読み)おるどす

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルドス(市名)」の意味・わかりやすい解説

オルドス(市名)
おるどす / 鄂爾多斯

中国北部、内モンゴル自治区中南部の地級市。市政府所在地はハイバグシュ区で、ほかに東勝(とうしょう)区と7旗(県級行政区)を管轄する(2016年時点)。人口204万5100(2015)。付近はオルドス高原の名で知られ、西、北、東を黄河(こうが)が環流し、高原は草原と砂漠からなり、内陸湖(塩湖)が散在する。東部は農業(キビトウモロコシアワ、食油用アマ)を主とし、西部はヒツジ、ウマ、ラクダなどの牧畜が行われるほか、カシミヤの名産地でもある。また東部にはジュンガル、南部には東勝の二大炭田があり、石炭が豊富に埋蔵されている。

 明(みん)代にはモンゴルの部族オルドス部の遊牧地であったが、清(しん)朝各旗が伊克昭(イフジュ)(モンゴル語で「大きな廟(びょう)」の意)で会盟したことからイフジュの名が生まれ、1649年イフジュ盟(二級行政区)が置かれた。2001年地級市に昇格し、オルドス市と改称した。2004年ごろから市政府は、東勝区郊外のハイバグシュ新区(当時)で100万人規模のニュータウンの開発を始めた。巨額の投資マネーが流れ込み、多くの高層マンションと巨大施設が建てられたものの、人口の流入は進まず、「鬼城ゴーストタウン)」と化している。ハイバグシュ区の2015年時点の人口は15万0300である。

 市南部のエジンホロ旗にチンギス・ハンの廟が設けられている。

[河野通博・編集部 2017年12月12日]

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