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ヒツジ ヒツジ Ovis aries; sheep

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ヒツジ
ヒツジ
Ovis aries; sheep

偶蹄目ウシ科。メンヨウとも呼ばれる。前 6000年頃にはすでに家畜化されていたと考えられている。毛用種,肉用種,毛皮用種,乳用種など用途により品種改良が進み,200以上の品種がつくりだされている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヒツジ
ひつじ / 羊
sheep

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科ヒツジ属に含まれる動物の総称。この属Ovisは、家畜のヒツジ(メンヨウともいう)O. ariesと、ムフロンO. musimon、レッドシープO. orientalis、アルガリヒツジO. ammon、ビッグホーンO. canadensis、ドールシープO. dalliなど野生のヒツジを含む。なお、英名はシープsheepであるが、雄ヒツジはラムram、雌ヒツジはユーeweとよばれる。[正田陽一]

特徴

ヒツジ属の仲間はヤギ属Capraに似ていて、両者の間にはタール属Hemitragusやバーラル属Pseudoisなど、半羊とよばれる中間型の動物種もあり区別がむずかしい。しかし、ヒツジの角(つの)は断面が三稜(さんりょう)形、前縁がまっすぐで、多くは後下方に螺旋(らせん)状に曲がる。角は雄にだけあるものや、両性ともにあるもの、ないものなどさまざまであるが、普通、雄のほうがよく発達している。ヤギ属の雄は尾の基部下面に1対の腺(せん)があるが、ヒツジ属にはなく、かわりに眼下腺、鼠径(そけい)腺、蹄間(ていかん)腺があり、この分泌物のにおいが、群れで行動する場合に役だっている。吻(ふん)は狭くて有毛、唇は可動性である。ヤギのようなあごひげはない。尾は野生種では短いものが多いが、家畜種では長いものが多く、なかには寒羊のように脂肪をためた太くて長い尾をもつ品種もある。
 体毛は、野生のヒツジでは粗く短い上毛が全身を覆い、冬季には柔らかい下毛が生えてくるが、メンヨウでは上毛も毛髄を欠いた緬毛(めんもう)に変化し、下毛も春になっても抜け落ちず、一年中伸び続ける。緬毛の表面には細かい鱗片(りんぺん)が屋根瓦(やねがわら)状に並んでいて、圧縮すると互いに絡み合ってフェルトになる。1本の緬毛の太さは、細い毛のメリノーでは直径16マイクロメートルぐらい(90番手(ばんて))、太い毛のリンカーンで54マイクロメートルぐらい(36番手)である。なお、この「番手」は、1ポンド(約450グラム)の毛から560ヤード(1ヤードは約91センチメートル)の糸を巻いたときの、巻き束の数を示す。緬毛は皮脂腺から分泌される羊毛脂(ヨーク)でべとついているから、剪毛(せんもう)すると1枚の毛皮状に刈り取られる。
 頭骨では涙孔が眼窩(がんか)縁の内方に開いている点がヤギ類と異なっている。ヒツジは反芻(はんすう)亜目に属するので、胃は4室に分かれていて、餌(えさ)を反芻する。また、曲がりくねったさまを意味する「羊腸」の語を生んだように、腸管は発達して長く、体長の20倍にも達する。[正田陽一]

生態

草食性であるが、ヤギがむしろ樹葉を好食するのに対し、地表の若い草をとくに好んで食べる。ウシやウマは長い草を舌で巻き取って食べるが、ヒツジは可動性の上唇を動かしながら下顎(かがく)の門歯と上顎の歯茎でかみ切って、短く刈っていく。このためウシと混牧したり、放牧跡地を利用すると、牧野の有効な利用ができる。群れをつくる習性がきわめて強いので、集団をつくってリーダーに従って行動する。傾斜地では低い所から高いほうへ、風のあるときには風下から風上へと草をはみつつ進む。性質はきわめて温順で、臆病(おくびょう)である。普通、年1回秋に繁殖季節を迎え、雌はこの季節中17日の周期で発情を繰り返す。妊娠期間は147~161日で、春に1~2子を産む。子は生まれたときから毛も生え、目も開いていて、まもなく立ち上がって乳を探し求める。3~4か月で離乳し、2~10歳ぐらいの間、繁殖する。[正田陽一]

野生のヒツジ


(1)ムフロン 地中海のコルシカ島、サルデーニャ島に野生するヒツジで、ヨーロッパ南部にも分布を広げている。雄には大きな螺旋形の角があり、成熟した雄には背中に白い鞍状斑(あんじょうはん)がある。雌は無角か、あっても小さい。体高70センチメートルぐらいである。
(2)レッドシープ ロシア南部から西アジアに分布する灰褐色のヒツジで、アジアムフロンともよばれ、前者よりやや大形。
(3)アルガリヒツジ 中央アジアから東部モンゴルへかけての山岳地帯に野生する大形のヒツジで、体高120センチメートルにも達する。巨大な螺旋角をもち、パミール高原の亜種はマルコポーロシープの名で有名である。
(4)ビッグホーン 北アメリカ大陸の高山地帯に分布する角の大きなヒツジ。シベリア東部にも1亜種がいる。
(5)ドールシープ カナダのロッキー山脈にすむ白色の野生ヒツジであるが、体型はビッグホーンに似ている。[正田陽一]

家畜ヒツジの品種

家畜のメンヨウは、前述の野生ヒツジのうち、ムフロン、レッドシープの1亜種ウリアル、アルガリヒツジの3種を馴化(じゅんか)したもので、紀元前8000~前6000年ごろ西アジアで家畜化された。飼養の目的が毛、肉、乳、毛皮と多岐にわたっているので、品種の数も多く1000種を超え、大きさもソーイの約20キログラムからリンカーンの約130キログラムまで幅がある。これらの品種は用途別に大別されるほか、毛の質によって、細毛種、中毛種、粗毛種、長毛種、短毛種と区分される。代表的品種は次のとおりである。
(1)メリノーMerino スペイン原産のスパニッシュメリノーが各国へ輸出され、フランスでランブイエメリノー、ドイツでネグレッティ、エレクトラール、南アフリカ共和国でケープメリノー、オーストラリアでオーストラリアンメリノー、アメリカでアメリカンメリノーを成立させた。メリノー系種はいずれも細毛の毛用種で、雄は有角、雌は無角である。オーストラリアンメリノーはそのなかの代表的な品種で、羊毛の太さによってストロングタイプ(太番手)、メディウムタイプ(中番手)、ファインタイプ(細番手)の3型に分かれている。
(2)サウスダウンSouthdown イギリスのサセックス原産の短毛の肉用種。雌雄とも無角で、四肢は短く、胴体は長方形で充実している。肉質は佳良で、「肉用メンヨウの女王」とよばれ、シュロップシャー、ハンプシャーダウン、オックスフォードダウン、ドーセットダウンなどダウン系種作出の基礎となった品種である。
(3)サフォークSuffolk イギリスのサフォーク県原産の短毛の肉用種で、ダウン系種に属する。顔面と四肢の下部は黒い粗毛に覆われる。体質強健で、早熟、早肥である。
(4)リンカーンLincoln イギリスのリンカーンシャー県原産の肉用種。体は大形で、全身が30センチメートルほどの絹糸状の光沢ある長毛で覆われている。体質は強健であるが、晩熟。
(5)レスターLeicester イギリスのレスターシャー県原産の長毛の肉用種。顔と四肢には白色の粗毛が生えている。ボーダーレスター作出の基礎となった品種である。
(6)ロムニーマーシュRomney Marsh イギリスのケント県原産の肉用種。体質強健で、適応性に富んでいる。とくに湿潤な土地にも耐えることができる。肉質もよい。
(7)ブラックフェイスBlackface イギリスのスコットランドの山岳地帯が原産地。全身粗毛に覆われ、雌雄とも有角。体格は小形であるが優美で、顔面は黒色。体質は強健で、耐寒性も強く、粗飼に耐える。
(8)コリデールCorriedale ニュージーランド原産の毛肉兼用種。毛用のメリノーに、肉用のリンカーン、ロムニーマーシュ、レスターを交配して作出された。体格は中形で、雌雄とも無角。気候風土に対する適応性が強く、第二次世界大戦前の日本のメンヨウはほとんど本種であった。
(9)オストフリージアンOstfriesian ドイツ北東部原産の乳用種。無角の大形品種で、四肢も長い。年700キログラムの乳を出す。
(10)カラクールKarakul 中央アジア原産の毛皮用種。雄のみ有角。生まれたばかりの子ヒツジの毛は黒色で、強く縮れていて美しく、その毛皮はアストラカンの名で珍重される。
(11)寒羊 中央アジア原産の多目的の品種。全身に粗毛と緬毛が混生している。尾は長大で、脂肪が蓄積しており、この脂肪も生産物として利用される。[正田陽一]

飼養管理

メンヨウは年1回、春に毛を刈り取る。年に2回刈る方法もあり、アメリカ合衆国、アルゼンチン、南アフリカ共和国などの一部で行われているが、産毛量は増えるが毛長が短くなるので有利ではない。剪毛はメンヨウを膝(ひざ)の間に座らせた姿勢で保定し、剪毛鋏(ばさみ)か電気バリカンで腹側から順序よく刈っていく。刈り取った毛皮状の毛をテーブルに広げて、汚れた不良部分を取り除き(スカーティング)、残りを巻き込んでまとめる。剪毛の前日から絶食をさせておくと腸捻転(ねんてん)などの事故が防止できる。ひづめが伸びすぎると腐蹄症に感染しやすくなるので、年に数回削蹄をする。また腐蹄症予防のためには硫酸銅液で脚浴させることも有効である。メンヨウは生後1~2週齢のときに断尾をする。これは後躯(こうく)の羊毛を糞尿(ふんにょう)で汚さぬためと、肛門(こうもん)周辺への外部寄生虫を防ぐためである。肉用の雄は生後10日齢ぐらいで去勢する。去勢すると性質が温和になり、肉質も向上するが、発育の面からはやや不利となる。[正田陽一]

利用

羊毛はその太さ、長さによって利用方法は異なってくる。もっとも細くて長い毛は梳毛(そもう)用羊毛combing woolとして精紡機にかけて細い毛糸にし、サージ、ギャバジンなどの滑らかな薄手の布地になる。世界でいちばん細美な羊毛を生産するのは、オーストラリア、タスマニア島のメリノーであるとされている。短い毛は紡毛用羊毛clothing woolといい、メルトン、フラノなどの柔らかい布に織られる。サウスダウンなどのダウン系種の毛がこれである。ブラックフェイスなどのイギリス山岳種や、寒羊など中央アジアの粗毛種の生産する粗い毛は、下級羊毛carpet woolとしてじゅうたんの原料毛に用いられる。
 羊肉は繊維が細くて柔らかく消化しやすいが、特有の香気があり、日本ではまだ親しまれていない。また脂肪の融点が42℃と高いため冷食には適さず、羊肉(カオヤンロウ=ジンギスカン料理)のような焼肉料理に向いている。羊乳は脂肪率が6~8%と高く、飲用乳のほかバター、チーズの原料乳としても利用される。有名なフランスの青カビチーズのロックフォールチーズは羊乳チーズの代表的なものである。
 羊毛皮はアストラカンのような高級品のほかにも、シベリアのロマノフスキー、中国の蒙古(もうこ)羊などの毛皮が防寒用に使われている。また肉用種の毛皮もムートンの名で敷物に広く利用される。[正田陽一]

世界の牧羊

牧羊業の形態と土地の価格の間には一定の関係があり、ウクライナ、スペイン、中央アジア、オーストラリア、アルゼンチン、南アフリカ共和国など地価の低い地域では粗放農業が行われ、羊毛生産を目的とした牧羊業が盛んとなるが、イギリス、フランス、アメリカ合衆国などのように地価が高くなると農業は集約的となり、牧羊業は羊肉生産を中心とするようになる。そして、ドイツ、ベネルックス三国など土地利用が極端に集約化した地域では、牧羊業は存続しえない。世界でもっとも羊毛生産が盛んなのはオーストラリアで、年産5億4600万トン、ついで中国、ニュージーランド、南アメリカ諸国などである(2003)。イギリスも単位面積当りの飼養頭数で比較すると上位にランクされるが、飼育されている品種は肉用種が多い。
 日本の牧羊業は、1875年(明治8)に政府が千葉県三里塚に牧場を開いてメンヨウ飼育の奨励策をとったのが始まりであるが、気候風土が牧羊に適さなかったことと、技術的未熟さとから失敗した。第一次世界大戦後、ふたたび牧羊の重要性が着目され、とくに軍の要請から羊毛の国内自給が強く叫ばれたため、飼養頭数は漸増して1946年(昭和21)には約20万頭に達した。第二次世界大戦後は羊毛の軍需はなくなったものの、食料不足、衣料不足の社会情勢が、草や農業副産物を飼料として肉と毛を自給できるメンヨウ飼育熱をあおり、1957年には飼養頭数は100万頭を超えるに至った。しかしその後、日本の経済が回復し安定するとともに、国外の安価な羊毛が輸入され、頭数は急激に減少し、2004年(平成16)現在は約9600頭が北海道、東北地方を中心に飼われているにすぎない。[正田陽一]

羊肉

ヒツジの食用の歴史は、人類の歴史からみるとたいへん古い。とくにアジア、ヨーロッパでは家畜としてもっとも古い動物で、重要な食肉であった。『旧約聖書』のなかでも、食用としてよい動物の一つになっている。イスラム教徒は豚肉を忌み、羊肉を主として食べている。中国においても、古代の殷(いん)の時代から羊肉を食べている。また、イスラム教徒の影響もあって、羊肉の料理が好まれている。日本では、明治になってから羊肉が一部で販売された。近年、ニュージーランドやオーストラリアから輸入されているが、一般食肉用よりも畜肉加工品の材料にされるほうが多い。
 羊肉は年齢によって、生後1年未満の子ヒツジの肉をラムlamb、成長したヒツジの肉をマトンmuttonとよんで区別している。ラムはさらに離乳までのミルクラムmilk lambと、離乳後のホゲットhoggetに区分されることがある。マトンとラムでは肉質にかなりの差があり、マトンに比べ、ラムは柔らかく、においも少ない。栄養面は両者に差がなく、ほかの肉と同様、タンパク質のよい給源である。肉質の色は、ラムは淡い赤色で、マトンは濃い赤色である。羊肉の脂肪は含量が豚肉とかわらず、融点は牛脂と同様高い。つまり、加熱して熱い料理として食べるには問題ないが、料理が冷めるとすぐに固まり、口の中でも溶けない。このため羊肉はかならず熱い間に食べなくてはならない。羊脂には特有のにおい成分が含まれているので、脂肪を除くように調理する。たとえば、ジンギスカン料理では、溝のある鉄板を使用し脂肪を除くくふうがされている。羊肉の水炊きも脂肪分が湯に溶け出るので食べやすくなる。羊肉料理のもう一つのポイントはスパイスの使い方である。羊肉特有のくせのあるにおいを消すには、矯臭効果の強いニンニク、ネギ、ショウガ、コショウなどのスパイス、酒やワイン、みそといったものを使うとよい。羊肉の代表的な料理は、中国の羊肉(焼肉)、インドネシアのサテ(串(くし)焼き)、トルコなどのシシケバブ(串焼き)などがある。料理法としては、そのほかにステーキ、ソテー、ロースト、みそ煮などがある。[河野友美・山口米子]

ヒツジと人間

ヒツジはヤギとともに最古の家畜動物であり、新石器時代初頭(前9000年ごろ)のイラクの遺跡ザビ・ケミ・シャニダールではすでに家畜化された遺骸(いがい)が発見されている。この時期は最初の農耕が西南アジアで発生する直前であり、人々は定住に近い生活を始め、従来の狩猟活動に加えて種子植物もかなり利用するようになっていた。このようにヒツジの家畜化は農耕の発生過程とほぼ時期を同じくしており、その後の古代オリエント文明成立の経済的背景をなす一要因ともなっている。当初ヒツジは狩猟動物にかわる食糧源の一つとして肉が利用されたが、しだいに乳の利用のほうが重要になる。古代メソポタミアやエジプトでは紀元前3000年ごろには乳製品がつくられていた。しかし羊毛の本格的な利用は、ずっとあとに発達した。
 今日ヒツジの飼育と利用は、大まかにいえば三つの型に分けられる。オーストラリアやアルゼンチンなどにみられる近代的牧畜、地中海沿岸部などを中心とする農村型牧畜、中央アジア草原地帯、あるいはアラビアやサハラの砂漠周縁部における遊牧である。農村型牧畜の場合にはさらに、季節によって高地と平地のそれぞれかなり離れた放牧地を移動する移牧(トランスヒューマンス)と、村の付近の牧草地を利用する日帰り放牧の2型に細分される。そしてヒツジと人間生活のかかわりが密接なのは、遊牧と移牧の2形態であり、おそらく古来からの伝統的なヒツジの飼育と利用もこのどちらかであったと思われる。
 遊牧の場合、ヒツジのほかにウシ、ラクダ、ウマ、その他の動物もいっしょに飼育される。一般的には動物が食用にされることは少ないが、肉を食べるときにはヒツジが多い。常食はむしろ乳からつくるチーズや発酵乳などの乳製品である。遊牧民の家畜への依存度は高く、毛、皮、骨から排泄(はいせつ)物に至るまで徹底的に利用している。移牧の場合は農村社会との関係が密接で、飼育に携わる牧夫も農民のなかの特定の社会集団とみなすことができ、いわば農村内の分業の形をとっているのである。一般にほかの家畜をいっしょに飼育することはなく、ヒツジだけの集中管理が行われる。
 ヒツジは群れの中に多数の種雄がいると発情期に闘争的となり、群れが混乱するので、しばしば雄は子ヒツジのうちに間引きされる。また種雄を少なくしておけば人間の手で交尾を十分に管理することができる。搾乳の最適時期は子ヒツジの離乳直後なので、雌の出産時期を調節することにより乳製品をつくるための安定した搾乳量も確保される。しばしば子ヒツジの皮が利用されたり、キリスト教の復活祭やユダヤ教の過越祭(すぎこしのまつり)において子ヒツジを食べる習慣は、この雄の間引きと関連している。とくにヒツジはヨーロッパ社会の精神世界において特定の意味をもっている。聖書のなかでキリストは「よき羊飼い」とされているが、これは群生のヒツジが絶えず誘導されて動くことによる。一方、ヒツジには贖罪獣(しょくざいじゅう)のイメージも強い。儀礼や祭礼の犠牲として捧(ささ)げられることが多く、とくに罪悪や災厄を清め運び去る役割を果たすと信じられてきた。キリストも一方ではヒツジに例えられることもあり、殉教者をヒツジで象徴することもあった。[加藤泰建]
『森彰著『図説 羊の品種』(1970・養賢堂) ▽大垣さなゑ著『ひつじ――羊の民俗・文化・歴史』(1990・まろうど社) ▽大内輝雄著『羊蹄記――人間と羊毛の歴史』(1991・平凡社) ▽未来開拓者共働会議編『まるごと楽しむひつじ百科』(1992・農山漁村文化協会) ▽百瀬正香著『羊の博物誌』(2000・日本ヴォーグ社)』

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