オール・オーバー(英語表記)all-over

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オール・オーバー」の意味・わかりやすい解説

オール・オーバー
all-over

全面を覆う」という意味。この言葉は,カンバスの表面全体が,多少の構成の差はあっても単一な手法で比較的均一に描かれた絵画に対して使われる。 J.ポロックの「ドリッピング」 (絵具をしたたらせる) 技法に対して最初に用いられ,一般にポロックの絵画が念頭に置かれるが,C.トゥオンブリやカラー・フィールド・ペインティング画家に用いられることもある。この手法によると絵画は画面の焦点や中心といったものを消失し,差異のない一つの視覚的全体となる。現実との相関性も失われ,物質としての絵画の性格を際立たせる結果,ミニマル・アートやプライマリー・ストラクチュアーズへの道をも用意したといえる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android