グラスラン(英語表記)Graslin, Jean Joseph Louis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グラスラン」の意味・わかりやすい解説

グラスラン
Graslin, Jean Joseph Louis

[生]1727. ツール
[没]1790. ナント
フランスの経済学者。重農主義の批判者として知られる。弁護士,サンカンタンの収税官を経て,1758年からナントの徴税請負区収税官として市の発展に貢献した。彼の学説効用価値説の立場に立ったもので,重農主義の「純生産」の理論に反対し,生産費に等しい価値しかもたない生産物も富であり,工業も生産的であるとした。同時代人として重農主義者を経済理論上,またその政策上において体系的に批判した唯一の人として当時は大いに意味をもったが,後世への影響は少い。主著『資産への間接税の影響について』 Sur l'influence de l'impôt indirect sur les biens fonds (1767) ,『富と租税についての分析の試み』 Essai analitique sur la richesse et sur l'impôt (67) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「グラスラン」の意味・わかりやすい解説

グラスラン
ぐらすらん
Jean Joseph Louis Graslin
(1727―1790)

フランスの経済学者。重農主義の批判者として知られる。トゥールに生まれ、サン・カンタン、ついでナントの徴税請負区で収税官を務めた。1766年リモージュ王立農業協会の論文募集に応募するために執筆し、選外佳作となった『富と租税に関する分析試論』(1767)が彼の主著である。彼は主観価値論の立場から、重農主義理論が富を農業が生み出す「純生産物」に限定することは誤りであるとし、農業のみでなく工業の生産物も効用をもつ限りで富であると考えた。この考えにたって彼は重農主義の租税論、つまり土地単一税を批判し、すべての生産物に対する消費税が望ましいと主張した。

[藤田勝次郎]

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