セギエ(英語表記)Pierre Séguier

改訂新版 世界大百科事典 「セギエ」の意味・わかりやすい解説

セギエ
Pierre Séguier
生没年:1588-1672

フランスの大法官。多くの司法官を生んだ名門の出で,ギュイエンヌ地方の地方長官,パリ高等法院の部長評定官などを経たのち,1635年より72年に没するまで,ルイ13世,14世の両王の下で大法官をつとめた。その間,1639年ノルマンディー地方に勃発した〈裸足(らそく)の乱〉では自らその鎮圧に当たり,また財務卿フーケの裁判に際しては,国王の意を迎えフーケ断罪のため画策した。晩年にはルイ14世の寵を失い,政治上の実権を失ったが,アカデミー・フランセーズの保護者として,文芸の隆盛に尽くしている。地方へ派遣された請願審理官などから大法官にあてられた報告書や覚書は,〈セギエ文書〉の名で知られ,この時代についての基本史料となっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セギエ」の意味・わかりやすい解説

セギエ
Séguier, Pierre

[生]1588.5.29. パリ
[没]1672.1.28. サンジェルマンアンレ
フランス,ブルボン朝時代の重臣。 1633年国璽尚書となり,35年大法官に就任リシュリューの協力者として活躍。 39年国王政府代表としてノルマンディーのニュ=ピエの反乱後の苛烈な処刑を執行。フロンドの乱では J.マザランにくみした。アカデミー・フランセーズの後援者でもあり文書収集家でもあった。その文書類は地方の実態と民衆反乱を知る貴重な史料となっている。『大法官セギエへの報告書』 Lettres et Mémoires adressés au Chancelier Séguierなどの著書がある。

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