ポランニー(Karl Polanyi)(読み)ぽらんにー(英語表記)Karl Polanyi

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ポランニー(Karl Polanyi)
ぽらんにー
Karl Polanyi
(1886―1964)

ハンガリー生まれの経済学者。主としてアメリカで活躍。ブダペスト大学その他で哲学と法学を学び、第一次世界大戦後ウィーンで雑誌の編集に従事ナチスに追われてイギリスに移り、オックスフォード大学の課外活動常任委員会の講師その他を経てコロンビア大学客員教授となり、経済史を講義物資の交換形態として、互酬性、再分配、(市場)交換の3様式を摘出し、交換形態の分析により、近代の市場経済社会と、その他の非市場社会とを同時に扱うことを可能にした。近代西欧の市場経済が人類史上、特殊であることを示し、経済人類学の発展に多大の貢献をした。主著として『大転換』(1944)、『ダホメ奴隷貿易』(1966/邦訳名『経済と文明』)などがある。なお、物理化学者、社会科学者のミヒャエル(マイケル)・ポランニーは弟、化学者のジョン・ポランニー(1986年ノーベル化学賞受賞)は甥(おい)である。

[豊田由貴夫 2019年1月21日]

『栗本慎一郎・端信行訳『経済と文明』(1975・サイマル出版会/ちくま学芸文庫)』『吉成英成・野口建彦・長尾史郎・杉村芳美訳『大転換――市場社会の形成と崩壊』(1975・東洋経済新報社)』『玉野井芳郎・栗本慎一郎・中野忠訳『人間の経済』Ⅰ・Ⅱ(1998・岩波書店)』

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