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互酬性(読み)ごしゅうせい(英語表記)reciprocity

翻訳|reciprocity

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

互酬性
ごしゅうせい
reciprocity

互恵性ともいう。人類学において,贈答・交換が成立する原則の一つとみなされる概念。有形無形にかかわらず,それが受取られたならば,その返礼が期待されるというもの。アメリカの人類学者,M.サーリンズは互酬性を3つに分類した。 (1) 一般的互酬性 親族間で食物を分ち合う行為など,すぐにその返礼が実行されなくてもよいもの。 (2) 均衡的互酬性 与えられたものに対して,できるかぎり決った期限内に返済されることが期待されるもの。 (3) 否定的互酬性 みずからは何も与えず相手からは最大限に奪おうとするもの。詐欺,賭け,どろぼうなどを含む敵対関係の行為といえる。そのほか,フランスの人類学者 C.レビ=ストロースは,婚姻を女性の交換ととらえ,そこでも互酬性が適用されると指摘した。これらの互酬性による均衡が破られたとき,当事者間には社会的地位の上下が生じるが,これはときには負い目意識となって,再び均衡がはかられる。このように均衡を求め続けることによって人間関係は継続し,進展しているともいえる。アメリカの R.ベネディクトによれば,日本社会における「恩」は無限の,「義理」は有限の負い目意識としてとらえられる。

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百科事典マイペディアの解説

互酬性【ごしゅうせい】

英語reciprocityなどの訳。ものを与えたり受け取ったりすることは一つの社会関係に入ることであり,そこに働く原理を互酬性という。受け取った側は相応の返済が期待されるが,親しい間柄ではお返しはすぐでなくてよいとされ,あまり親しくない場合は,定まった期間内での返済が期待される。互酬性が破られる,つまり期待された期間内に返済がなされぬ場合,与えた側と受け取った側との間には社会的地位の上下関係が生じる。後者はいわば負い目を持つことになり,前者より下位に甘んじなければならない。当事者は意図的に互酬性の均衡を操作することがある。例えば相手に〈貸しがある〉または〈借りがある〉状態を作り,少なくとも返済がなされるまで相互関係が続くのを望む。逆に関係を終結させたければ貸し借りを清算して互酬性が均衡した状態にすればよい。互酬性や贈答・交換の人類学的研究には,モース,K.ポランニーレビ・ストロースサーリンズらの貢献がある。特にレビ・ストロースは,婚姻は集団間での女性の交換であり,互酬性こそ集団間に連帯を生み社会を成立させる原理だと論じた。
→関連項目クラ地域通貨

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大辞林 第三版の解説

ごしゅうせい【互酬性】

個人ないし集団間で、互いに物品や役務などを交換すること。贈与慣行の義務的性格に着目してつくられた分析概念。日本では「お返し」や「結ゆい」などがそれに当たる。

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世界大百科事典内の互酬性の言及

【交換】より

…すなわち,行為者Aが行為者Bに対して報酬となる財や資源を提供すれば,BにはAに対して返報する義務が生じ,その義務を履行しなければならない。これは互酬性(互恵性)の原理として知られる。たとえば,困っているとき援助を受けたBは,後日なんらかの形でAに返報しなければならず,それを怠るなら恩知らずと悪口を言われても仕方がないのである。…

※「互酬性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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