ミュラー(ドイツの哲学者 Adam Heinrich von Müller)(読み)みゅらー(英語表記)Adam Heinrich von Müller

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ミュラー(ドイツの哲学者 Adam Heinrich von Müller)
みゅらー
Adam Heinrich von Müller
(1779―1829)

ドイツの政治哲学者、社会哲学者。ベルリン官吏の子として生まれる。最初プロイセン官吏となり、『対立論』(1804)を著したが、その「動的思考」はヘーゲルにも影響を与えたといわれる。1805年ウィーンでカトリック改宗。シュレーゲル兄弟らのロマン主義者と交わり、その思想とF・ゲンツ、E・バークの保守主義思想とを結合させて政治的ロマン派の代表的理論家となった。1809年主著『国家学綱要』を著し、国家有機体説に基づきカトリック的、身分制的国家擁護を説いた。ベルリンでハルデンベルクによる改革への反対運動を行ったのち、1811年ウィーンに移り、以後メッテルニヒに仕えた。ライプツィヒ駐在総領事(1818~1827)としてプロイセンの関税政策に抵抗する一方、ウィーン体制イデオローグとして活発な言論活動を行い、1826年「君主的原理宗教」に対するその功績により貴族に列せられた。

[岡崎勝世 2015年4月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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