任料(読み)にんりょう

精選版 日本国語大辞典 「任料」の意味・読み・例文・類語

にん‐りょう ‥レウ【任料】

〘名〙 官職や荘官職などに任じられたときに、朝廷荘園領主に納入する金銭売官の料。
御堂関白記‐長保元年(999)八月二二日「越後守道経献馬三疋、自陸奥軍監任料馬二疋引」

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「任料」の解説

任料
にんりょう

年官や成功(じょうごう)によって官職に補任された者が,その代価として支払った財物。年官の場合は給主(推挙者)に贈られ,成功の場合は行事所・官司寺社に納められた。年爵栄爵での叙料に対応する。額は官職や時代によって大きな差があったが,年官では1023年(治安3)の大隅掾任料が絹30疋,成功では946年(天慶9)の左右馬属任料の銭400貫などが早い例。中世になると,荘官職をはじめとする所職や諸種の役職への補任に際し,荘園領主などの任命権者に謝礼などとして任料が支払われた。

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世界大百科事典(旧版)内の任料の言及

【もてなし】より

… さらに,このような酒肴料は1302年(乾元1)太良荘の百姓国友が助国名名主職に補任(ぶにん)されるにあたって,酒肴料11貫文を東寺に進め,55年(正平10∥文和4)同荘預所職を請け負うにあたって,源秀が酒肴料2貫文を出しているように,荘園,公領の所職補任にあたっても,しばしば見いだされる。これは任料ともいわれているが,所職への補任を望む人の補任権者に対するもてなしの変形とみることができるので,その多少によって補任が左右されることも大いにありえたのであり,補任権者(荘園,公領の支配者)もまた,その収入を期待していたのである。 これらは賄賂(わいろ)となんら変わるところはないといってよかろうが,自立救済を基本としていた中世社会,とくに室町時代の社会はこうしたもてなし,酒肴料,一献料等の授受はまったく当然のこととして行われた。…

※「任料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」