年爵(読み)ネンシャク

デジタル大辞泉 「年爵」の意味・読み・例文・類語

ねん‐しゃく【年爵】

年給の一。平安時代以降、上皇三后さんこう東宮親王などの所得とするために、毎年一定数の叙爵希望者を募って推薦させ、名目だけの従五位下に叙して、叙任された者にその叙料を納めさせた制度

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精選版 日本国語大辞典 「年爵」の意味・読み・例文・類語

ねん‐しゃく【年爵】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ねんじゃく」とも )
  2. 院・三宮・准后に許された、一定数の人員について従五位下への叙位(叙爵)または従五位下以上の位階からの昇叙加階)を請求する権利。それによって近親者を叙爵、加階したり、叙料を得たりすることができたもの。→年給年官年爵年爵年官
    1. [初出の実例]「去朔日一条故摂政北方被年爵・内外官三分一人宣旨」(出典小右記‐永観二年(984)一二月三日)
  3. 年齢爵位。〔晉書‐何遵伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「年爵」の意味・わかりやすい解説

年爵 (ねんしゃく)

平安時代以降おこなわれた売官一種で,ある人の栄爵を申請した皇族貴族が,その爵を得た者から利益を得る制度。平安中期以前に成立したもので,上皇・女院・三后・東宮・准后に年に栄爵1人の権利が与えられた。与える栄爵は五位がふつうだが,四位の例もある。給主得分は明らかでないが,叙料を収めるのだろうという。
年給
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「年爵」の解説

年爵
ねんしゃく

年給のうち位階の推挙枠。「公卿補任」882年(元慶6)の藤原基経の条が初見。院宮(いんぐう)(および准三后(じゅさんごう))に毎年叙爵1人を与えるのが本来の制であったが,のち女叙爵が加わり,さらに年爵による加階も盛んになった。給主(推挙者)は叙爵・加階した者から叙料をえた。年爵は年官に比べて,総枠が狭く運用が単純で希望者も多かったため,後代まで長く続いた。院政期になると臨時内給が増加するが,実質的には成功(じょうごう)と区別しにくいものとなった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「年爵」の意味・わかりやすい解説

年爵
ねんしゃく

年給の一つ。天皇をはじめ,上皇以下公卿にいたる人々が,叙位のときに,一定の人員を,従五位下に叙することを申請する権利を与えられた。これを年爵という。申請者は,位に叙せられたものから叙料を徴収した。

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普及版 字通 「年爵」の読み・字形・画数・意味

【年爵】ねんしやく

年位。

字通「年」の項目を見る

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旺文社日本史事典 三訂版 「年爵」の解説

年爵
ねんしゃく

平安時代に行われた一種の売官制度。➡ 年官・年爵

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「年爵」の意味・わかりやすい解説

年爵
ねんしゃく

年給

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世界大百科事典(旧版)内の年爵の言及

【売官】より

…【梅原 郁】
[日本]
 国家の財政制度として,公然と希望者を募り,任料,叙料を納入させて任官,叙位を行う売官・売位制度が,平安時代を中心に鎌倉時代に及んで行われた。年官年爵および成功(じようごう),栄爵がそのおもなものである。いずれも平安時代に入って調・庸の粗悪化,未納が増加し,国家財政が困難になるとともに食封(じきふ)に頼っていた皇族,貴族の経済も窮乏したため,その弥縫(びほう)策の一つとして,前者について成功,栄爵,後者について年官,年爵が成立した。…

※「年爵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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