改訂新版 世界大百科事典 「十島」の意味・わかりやすい解説
十島[村] (としま)
鹿児島県鹿児島郡の村。人口657(2010)。九州と奄美大島の間に位置する吐噶喇(とから)列島の口之島,中之島,臥蛇(がじや)島,平島,諏訪之瀬島,悪石(あくせき)島,小宝島,宝島,横当(よこあて)島などの島々からなる。古くは下七島と称され,明治中期から1946年まで上三島(硫黄島,黒島,竹島。現在の三島村)とともに十島(じつとう)村を形成していたが,同年に下七島はアメリカ軍に接収され,臨時北部南西諸島政府(のち奄美群島政府)の支配下に置かれた。52年本土に復帰して大島郡十島村となり,73年鹿児島郡所属となる。周辺の海域は荒海で交通の便が悪く,村役場は鹿児島市に置かれている。横当島に続いて1970年には臥蛇島も無人島になった。全島が火山灰粘土質の土壌で覆われ,また台風の常襲地域にあたるため農業は不振で,和牛の肥育を中心とする畜産に力が注がれている。近年,漁港整備の促進により専業漁家も育成され,1965年からは大島紬の製造も行われている。
執筆者:吉成 直樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報