吐噶喇列島(読み)トカラレットウ

精選版 日本国語大辞典 「吐噶喇列島」の意味・読み・例文・類語

とから‐れっとう‥レッタウ【吐噶喇列島】

  1. 鹿児島県大隅諸島の南方に連なる火山列島。口之島・中之島・臥蛇島・小臥蛇島・平島諏訪之瀬島・悪石島・小島・小宝島・宝島・上ノ根島・横当島の一二島から成る。鹿児島郡十島(としま)村に属する。五島は無人島。宝諸島。宝七島

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「吐噶喇列島」の意味・わかりやすい解説

吐噶喇列島
とかられっとう

鹿児島県南部,屋久島奄美大島との間の,東シナ海に浮かぶ火山列島。約 160kmにわたって北東─南西に並ぶ島群は,北から口之島臥蛇島(がじゃじま),小臥蛇島,中之島平島諏訪之瀬島悪石島(あくせきじま),小島,小宝島宝島,上ノ根島(かみのねじま),横当島(よこあてじま)の有人無人の大小 12島からなり,全域で十島村を形成する。最高点は中之島の御岳(おたけ。979m)。大部分が霧島火山帯の新期火山帯に含まれ,起伏の激しい地形となっており,中之島の御岳,諏訪之瀬島の御岳では火山活動が活発である。サンゴ礁が隆起してできた宝島,小宝島などでは平坦な土地が多い。亜熱帯気候で,動植物相は南方系の特色を示し,アカヒゲトカラハブ(→ハブ),エラブウミヘビ(エラブウナギ)などが生息し,ビロウなどが生い茂る。「トカラ(吐噶喇)」の名称は『日本書紀』にすでにみられるが,その由来については諸説ある。中世史においては平家一門が敗走した場所として,各島で伝承や史跡が残る。薩摩藩の船奉行の管轄下では各島に島役や在番が配され,18世紀には漂流民や異国船対策として口之島,中之島,宝島に番所が置かれた。文政7(1824)年,宝島に上陸したイギリス人が食用ウシを強奪したことをきっかけに銃撃戦が起こり,幕府異国船打払令を出すきっかけの一つとなった。第2次世界大戦後の 1946年2月にはアメリカ軍政下におかれ,1952年2月に本土に復帰した。サツマイモや米の栽培,肉牛の飼育,漁業が行なわれる。鹿児島─名瀬(奄美大島)間の定期船が週に 2便,有人の各島に寄港する。総面積 101.14km2

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「吐噶喇列島」の意味・わかりやすい解説

吐噶喇列島 (とかられっとう)

薩南諸島の一部をなす列島。古くは七島,川辺(かわなべ)七島,宝七島などと呼ばれた。鹿児島県鹿児島郡十島(としま)村を形成し,諸島間の交通が不便なため村役場は鹿児島市にある。第2次大戦後はアメリカの軍政下にあったが,1972年日本に復帰した。総面積101.35km2,人口657(2010)。屋久島と奄美(あまみ)大島の間,七島灘と呼ばれる東シナ海の海域に北東から南西方向に,約160kmにわたってほぼ2列に島が点在,東側には北から口之島,中之島諏訪之瀬島,悪石(あくせき)島,小宝島,宝島,西側には北から臥蛇(がじや)島,小臥蛇島,平(たいら)島が並び,南方に離れて横当(よこあて)島がある。北緯30度線が最北の口之島を通る。最大は面積27.5km2の中之島。横当島は古くから,臥蛇島は1970年から無人である。大部分は火山島で,とくに諏訪之瀬島の御(お)岳は1813年(文化10)に大爆発を起こしている。また,宝島,小宝島にはサンゴ礁が発達し,鍾乳洞もみられる。ビロウ,ガジュマル,アコウが茂り,口之島には香りの高いタモトユリが自生し,中之島には野生馬のトカラウマが生息する。風光にすぐれた温暖な気候であるが,一方,台風の進路にもあたりその被害が大きい。

 農業は米,サトウキビ,野菜などをわずかに産するのみであるが,近年は肉牛の放牧が盛んに行われ,畜産が農業粗生産額の大半を占めている。紬(つむぎ)を生産するほか,悪石島ではたけのこの缶詰を製造する。魚群が豊富で,サワラ,シビ,カツオ,トビウオ,イセエビなどの漁業が行われ,夜光貝,エラブウミヘビ(エラブウナギともいう)を特産する。また口之島,中之島,悪石島,小宝島に温泉がある。鹿児島港から村営定期船が各島に通じる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「吐噶喇列島」の意味・わかりやすい解説

吐噶喇列島
とかられっとう

鹿児島県屋久(やく)島から奄美(あまみ)大島に至る約200キロメートルの間に、約180キロメートルにわたって点在する微小な島々。北緯30度の口之島(くちのしま)を最北の島として28度50分の横当島(よこあてじま)までの12島をさす。鹿児島県鹿児島郡十島村(としまむら)に属する。トカラ列島県立自然公園に指定される。全島が火山島であるが、現在活動を続けているのは諏訪瀬島(すわのせじま)と中之島の2島である。地体構造的には、北から口之島、中之島、諏訪瀬島、悪石(あくせき)島が新期造山帯に、その西側にほぼ平行に並ぶ小臥蛇(こがじゃ)島、臥蛇島、平(たいら)島、小島(こじま)、小宝(こだから)島、宝島、上ノ根(かみのね)島、横当島が古期造山帯に属する島弧である。これら島々のほとんどが周囲を急崖(きゅうがい)で囲まれるが、小宝島と宝島は隆起サンゴ裾礁(きょしょう)によって縁どられ、ほかの島々とは異なった景観を示す。常時黒潮の流路となっているため、気候は温暖で島々は亜熱帯性植物で覆われる。12島のうち小臥蛇島、臥蛇島、小島、上ノ根島、横当島の5島は無人島である。産業面からは取り上げるほどのものはなく、1952年(昭和27)日本復帰当時約3400人であった人口も2010年には600人台へと減少した。公共交通機関として、現在村営船「としま」丸が4日に1便島伝いに鹿児島市との間を往復している。古代に「道之島」とよばれた往時の島々は、現在夏の観光客を細々と受け入れているにすぎない。

[塚田公彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

[名](スル)二つ以上のものが並び立つこと。「立候補者が―する」「―政権」[類語]両立・併存・同居・共存・並立・鼎立ていりつ...

連立の用語解説を読む