国内神名帳(読み)こくないじんみょうちょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「国内神名帳」の意味・わかりやすい解説

国内神名帳
こくないじんみょうちょう

古代、律令制(りつりょうせい)下に諸国国司が、その管内の崇敬神社を記した公簿をいう。新任の国司が任国に到着すると管内の崇敬神社に神拝することになっており、その後、政務の引き継ぎを行った。政務のなかに、国内神社の恒例・臨時の祭祀(さいし)や奉幣があり、それに供するため国内神社の公簿がつくられた。現在18か国の国内神名帳があるが、そのほとんどが国司所用のものであったかは疑問があるといわれている。おもなものに、筑後(ちくご)国神名帳、大隅(おおすみ)国神名帳、加賀(かが)国神名帳、尾張(おわり)国神名帳、対馬(つしま)国神名帳、和泉(いずみ)国神名帳、上野(こうずけ)国神名帳、伊豆(いず)国神階帳などがある。

[落合偉洲]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国内神名帳」の意味・わかりやすい解説

国内神名帳
こくないじんみょうちょう

諸国の崇敬神社を平安時代中期以降に登載列記した公簿。諸国の国司らによって作成され,18ヵ国の神名帳が現存している。これに対して,『延喜式』第9~10巻の神名帳には,全国の著名な神社名 3132座を載せている。

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世界大百科事典(旧版)内の国内神名帳の言及

【神名帳】より

…神名式は《延喜式》の中でも最も早く中世から研究の開始された部分であるが,なかでも近世の学者伴信友(ばんのぶとも)の《神名帳考証》は著名。【虎尾 俊哉】
[国内神名帳]
 〈延喜式神名帳〉は国家(神祇官)が管轄する神社であるのに対して,諸国の国司が管理するため作成された神名帳を国内神名帳という。国内神名帳は国ごとに国司が管内神社をまつり,巡拝するのに必要とされ,国衙に備え付けられたが,現在伝えられているのは,三河,上野,若狭など20ヵ国に満たない。…

※「国内神名帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」