《延喜式》巻九,巻十の神名式上下のことで,この部分だけがとくに取り出されて〈延喜式神名帳〉と呼ばれる。独立の写本などが作られるようになった時期は明確でないが,おそらく中世初期のことと思われる。律令制下の官社2861社(3132座)の一覧表で,国郡別に社格(大社,小社)や中央の神祇官,地方の国衙から幣帛を受ける祭儀の種類などを記してある。こういう官社一覧表は律令国家の神祇行政の必要上早くから作られていたとみえ,奈良時代の史料に見える〈神祇官記〉などはそれに当たるものらしい。その後《弘仁式》巻七~巻十で初めて神名式として整理され,続く《貞観式》では巻三~巻五が神名式に充てられている。この帳に記載の官社は今日なお〈式内社〉と呼ばれ,伝統の古さを誇っている。神名式は《延喜式》の中でも最も早く中世から研究の開始された部分であるが,なかでも近世の学者伴信友(ばんのぶとも)の《神名帳考証》は著名。
執筆者:虎尾 俊哉
〈延喜式神名帳〉は国家(神祇官)が管轄する神社であるのに対して,諸国の国司が管理するため作成された神名帳を国内神名帳という。国内神名帳は国ごとに国司が管内神社をまつり,巡拝するのに必要とされ,国衙に備え付けられたが,現在伝えられているのは,三河,上野,若狭など20ヵ国に満たない。国内神名帳は,単に国帳,神社帳ともいわれ,また,神階と社名を記載する形式が多いことから,神階帳とも呼ばれた。中世以降は,寺院の法会の際に,国内諸神を勧請して,法楽をささげるために用いられた。
執筆者:岡田 荘司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「じんみょうちょう」とも読む。別に神社帳、神帳、神祇官(じんぎかん)帳、官帳などともいう。神社名または神名を列記した公簿の意味である。『延喜式(えんぎしき)』巻9(神名上)・巻10(神名下)に収載されている全国の神名帳は、「延喜式神名帳」「式神名帳」ともいわれて有名である。全国を宮中・京中・五畿七道(ごきしちどう)諸国に分け、合計2861官社(3132座)の神名を列記している。式神名帳は延長(えんちょう)5年(927)の成立で、そこに登載される神社を、とくに式内社(しきないしゃ)または式社という。式神名帳のほかに、各国ごとに作成された神名帳があり、これをとくに国内神名帳という。これは、諸国の国司が、管内主要神社を祀(まつ)り、巡拝するために、また行政上必要とされた。当初は全国にそれぞれ存在したものと考えられるが、現在は十数か所のそれが現存するのみである。このほうは、神階(しんかい)と神社名を記している場合が多く、神階帳ともよばれたりしている。
[落合偉洲]
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一般的に律令制下,神祇官所管の神名の登載帳をさす。この存在を示す史料の早い例として,「続日本紀」慶雲3年(706)2月26日条に19社の神名を「神祇官記ニ具ス」とあり,「古語拾遺」に天平年間に神帳が勘造されたとみえる。「延喜式」巻1に「祈年祭神三千一百卅二座(中略)並ニ神名帳ニ見ユ」とみえ,巻9「神名上」,巻10「神名下」の3132座の祭神と対応し詳細がわかる。この「延喜式」神名帳を神名帳と称することも多い。また一国内の国内神名帳や寺院の斎会用の神名帳もある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…〈しんめいちょう〉ともいう。
[延喜式神名帳]
《延喜式》巻九,巻十の神名式上下のことで,この部分だけがとくに取り出されて〈延喜式神名帳〉と呼ばれる。独立の写本などが作られるようになった時期は明確でないが,おそらく中世初期のことと思われる。…
※「神名帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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