変動予算(読み)へんどうよさん(英語表記)variable budget

日本大百科全書(ニッポニカ) 「変動予算」の意味・わかりやすい解説

変動予算
へんどうよさん
variable budget
flexible budget

予算編成において、予想されるいくつかの操業度に対して設定される費用予算、あるいはこのようにいくつかの予算を事前に準備しておく予算編成方式をいう。弾力性予算flexible budgetともよばれる。固定予算に対立する概念である。変動予算方式には、操業度の一定間隔ごとに予定額を予想していく実査法あるいは多桁(たけた)式と、すべての原価を変動費と固定費に区分して、これをy=ax+bの算式に書き表して予算とする公式法とがある。この算式において、aは変動費率、bは固定費額、xは操業度(時間など)で、それによって求められた金額がyすなわち予算額である。予定した操業度と現実の操業度とは一致しないことのほうが多いから、変動予算方式は、差異分析を通じて弾力的な原価管理を実践できるといわれている。

[東海幹夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「変動予算」の意味・わかりやすい解説

変動予算
へんどうよさん
variable budget

弾力性予算ともいう。操業度が異なるごとにそれぞれの操業度に対して設定される予算をいい,単一の操業度に基づいて設定される固定予算に対比される。主として部門別の製造間接費の管理のために用いられるが,販売費など他の諸費用にも適用できる。設定方法には実査法 (あるいは多桁式) による変動予算と公式法による変動予算とがある。原価管理の観点からは固定予算よりも変動予算の方がすぐれているとされるが,その理由は前者が実際操業度とは関係なく,基準操業度における一定の予算額と原価の実際発生額とを比較し,それに基づいて部門ないし部門管理者の業績を測定するのに対して,後者は実際操業度に基づいた予算額と実際発生額とを比較するため,より有効な部門管理が期待できるからである。

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