川崎OH-1(読み)かわさきオーエイチいち

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「川崎OH-1」の意味・わかりやすい解説

川崎OH-1
かわさきオーエイチいち

偵察,警戒,空中指揮などを目的とする日本独自の軍用ヘリコプタ。基本設計は 1992年に始まり,1996年8月6日初飛行した。防衛庁の構想のもと,川崎重工業筆頭となって開発にあたり,富士重工業(→SUBARU)が協力,三菱重工業がエンジンを担当した。原型 4機が防衛庁に納められたのは 1997年で,明野駐屯地で 2年間にわたる試験飛行が行なわれた。陸上自衛隊への納入が始まったのは 2000年1月である。操縦席は前後 2席で,前席にはヘッドアップ・ディスプレイ HUDがつく。主回転翼(ロータ)は 4枚ブレードの複合材製。ヒンジレス・ハブのために操縦反応が早く,ヘリコプタとして敏捷な運動性をもつ。ホバリング状態からそのまま宙返りに入ることも可能。尾部にはダクテッドファンがつき,8枚のブレードが不等間隔に植えられているため騒音が小さく,超低空の匍匐飛行や狭い場所での発着にも危険が少ない。機体構造は重量比で 37%が複合材。エンジンは三菱 TS1ターボシャフト・エンジン(884馬力)。胴体左右に短固定翼がはり出し,ミサイルや増加タンクの装着が可能。ロータ直径 11.6m,胴体長 12m,総重量 4t,最大水平速度時速 278km,出撃半径 200km,航続距離 550km。攻撃機,さらには民間機への転用も検討されている。

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