幼形成熟(読み)ヨウケイセイジュク(英語表記)neoteny

翻訳|neoteny

デジタル大辞泉 「幼形成熟」の意味・読み・例文・類語

ようけい‐せいじゅく〔エウケイ‐〕【幼形成熟】

動物が幼生形の段階のまま生殖巣が成熟し、繁殖できるようになる現象メキシコサンショウウオアホロートル)などにみられる。ネオテニー。幼態成熟。

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精選版 日本国語大辞典 「幼形成熟」の意味・読み・例文・類語

ようけい‐せいじゅく エウケイ‥【幼形成熟】

〘名〙 動物の成長一定の段階で止まるが、生殖腺だけは成熟し繁殖できるようになる現象。両生類のアホロートルなどで知られる。ネオテニー。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「幼形成熟」の意味・わかりやすい解説

幼形成熟
ようけいせいじゅく
neoteny

ネオテニー,幼体成熟ともいう。動物の個体発生中,幼生形のまま生殖巣が成熟し,繁殖する現象。たとえばメキシコサンショウウオは,原産地では変態を終えないまま成熟し,アホロートル axolotlと呼ばれる幼生形のままで生殖する。しかし,環境の変化により変態して成体になることもでき,また,甲状腺ホルモンを与えると変態して成体になるので,この場合の幼形成熟は甲状腺ホルモンの不足によるとも考えられている。なお,幼形成熟は進化のうえで重要であるとの説がある。たとえば昆虫類は多足類 (幼生は3対の脚をもつ) の幼形成熟によって生じたといわれる。また,ヒトについては外形上の類似から,胎児化の説が立てられる。つまりヒトとオランウータンとは赤ん坊同士よく似る。ところがおとなをみると,ヒトでは赤ん坊の当時と比較的似るが,オランウータンでははなはだしく異なる。このことから,より進化したほうがより幼児的形態をとどめるというものである。幼形成熟は幼生が単為生殖を行う幼生生殖とは異なる現象である。

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世界大百科事典(旧版)内の幼形成熟の言及

【トラフサンショウウオ】より

…両生類トラフサンショウウオ科の代表的な種で,幼生の一部が幼形成熟することで知られる。太平洋沿岸地方を除くアメリカ合衆国の大部分,メキシコ北部に分布し,全長18~22cm,最大33cmで,同類の中では大型。…

【ネオテニー】より

…幼形成熟pedogenesisともいう。動物が幼形を保ったまま性的成熟に達し生殖を行う現象。…

※「幼形成熟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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