御分(読み)ゴブン

デジタル大辞泉 「御分」の意味・読み・例文・類語

ご‐ぶん【御分】

[代]二人称人代名詞。同等またはやや目上相手に対して武士が用いた。あなた。そなた。ごへん。
「―が勘当をも申し許してみん」〈曽我・七〉

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精選版 日本国語大辞典 「御分」の意味・読み・例文・類語

ご‐ぶん【御分】

[1] 〘名〙
高野山文書(年未詳)(13C前)七月八日・阿氐河庄下村公文紀光澄申状案「御さた候て、上のごぶんともなり候はば、よろこびいり候はん」
② 禅宗寺院に使われる下人。
※文明本節用集(室町中)「御分 ゴブン 下人」
[2] 〘代名〙 対称同輩もしくはやや目上の相手に対し武士が用いる。貴殿。御辺。
太平記(14C後)三八「御分誠に僧ならば斯る不思議の事をばよもし給はじ」
[語誌](二)は、中世武士が敬意をもって用いた。近世上方語では主に武士や僧侶が用いた男性語であるが、敬意の度合はやや下がり、女性の使用例も見られるようになる。

お‐わけ【御分】

〘名〙 (「お」は接頭語) =おろし(下)
※三議一統大双紙(15C前)饌部門「何にても主人のこしめしかけたるを取て、かけてくふ事、御わけ給るる也」

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