オロシ(読み)おろし

デジタル大辞泉 「オロシ」の意味・読み・例文・類語

オロシ(Orosí)

コスタリカ中央部の町。首都サンホセの南東約30キロメートル、レベンタゾン川が刻むオロシ渓谷に位置する。同国有数のコーヒー産地として有名。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オロシ」の意味・わかりやすい解説

おろし(料理)
おろし

ダイコンワサビショウガなどをおろし器でおろすこと、また、おろしたものをいう。単に「おろし」という場合は大根おろしをさす。ダイコンをおろし器でおろしたものは用途が広く、刺身のつけしょうゆに加えたり、そば、うどん、てんぷらなどの薬味に使うほか、和(あ)え物に用いる。おろし和えはみぞれ和えともいい、ダイコンをおろして軽く水けをとり、下味をつけたタコ、イカ、イワシ、エビ、アカガイ、エノキダケなどに添えたものである。おろしを適宜鍋(なべ)に入れて味つけをし、魚や鶏肉などを煮て用いることもある。

 地方料理には大根おろしがかなり大きな役割をもつものが多い。福井県の武生(たけふ)(越前市)のおろしそばは一種のかけそばであるが、大根おろしを加えることにより独自の味を出している。また「ぼっかけ」は、豆腐を奴(やっこ)豆腐の形に切って型どおりの湯豆腐をつくり、大根おろしにしょうゆを適宜加え、飯を茶碗(ちゃわん)に盛り、豆腐を3~4個のせ、上から調味した大根おろしを加えたものである。長野県の「大根しぼり」は、そば料理で、大根おろしの用い方がおもしろい。そばは、ゆでてざるにあげておく。しょうゆ大さじ6杯、砂糖大さじ1杯、削り節少々を鍋に入れ、火にかけ、沸き立ったら、この地方特産の辛いダイコンをおろして適量加える。そばをざるのまま温めて、食べる分だけ取り分け、大根おろし汁をかける。

多田鉄之助

 おろしは、空気に触れると、ビタミンCが酸化され、減少する。おろしてから長く空気に触れるほど酸化もするので、なるべく食べる直前におろすのがよい。また、ダイコンにニンジンのおろしを混ぜたもみじおろしでは、ニンジンに含まれるビタミンC酸化酵素の作用により、ビタミンCの酸化が促進される。この酵素は酸性にすると働きがとまるので、すりおろして時間を置くときは、酢やレモン汁を加えることでビタミンCの減少を防ぐことができる。

河野友美・大滝 緑]


おろし(颪)
おろし / 颪

山から吹き降りてくる風。主として本州の太平洋沿岸一帯でいい、日本海側ではこれを「だしかぜ」とよぶ。おろしは、それが吹き出してくる風上の山の名などをとって「筑波(つくば)おろし」「秩父(ちちぶ)おろし」「比叡(ひえい)おろし」「浅間(あさま)おろし」「富士(ふじ)おろし」など、固有名をもつものが少なくない。おろしには山から吹き降りるとき、乾燥して気温の上昇するフェーン型の場合と、寒冷な気流がほとんど気温が上昇せずに低温のままで吹き降りてくるボラ型の場合があるが、フェーン型の場合は一般にフェーンとして別に注目されるので、普通「おろし」というときにはボラ型の寒風をいう場合が多い。外国ではクロアチアのダルマチア地方に吹く「おろし」がもっとも有名で、この地方ではこの風をボラBoraとよんでいる。

根本順吉

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改訂新版 世界大百科事典 「オロシ」の意味・わかりやすい解説

オロシ (おろし)

日本音楽,芸能の用語。(1)能や長唄の打楽器の手組の一種。頭組(かしらぐみ)から(じ)へ移るために打つ手組。同じ性格の手組を〈オロシノ類〉と呼ぶが,これを単にオロシともいう。(2)能の舞事(まいごと)の楽句名。舞の進行に区切りをつける〈〉のあと,基本である〈地〉に移る前に置かれ,テンポをゆるめて変化をつける部分。笛は〈オロシノ譜〉と呼ばれる特別な旋律を奏し,打楽器もオロシノ類を打つ。ただし,舞の最終節や,〈急ノ舞〉などの急迫した性格の舞事には,この楽句は置かれない。(3)長唄の囃子事の一種。能管と小鼓・大鼓で奏する場合と,太鼓の加わる場合がある。合戦や立回リなどに用いられる。また,太鼓・大太鼓を加えて,舞踊物で人物がかけ出してくる場面にも用いる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オロシ」の意味・わかりやすい解説

おろし
fall wind

山から吹きおろす風。局地風の一種。冬に関東地方中央部の利根川沿いの地域で吹く,乾燥した冷たい強風がその典型的な例。山の名前をつけて,それぞれの地域で,榛名おろし,赤城おろし,筑波おろし,六甲おろしなどと呼ぶが,厳密にはこれらの山から吹きおろす風だけではなく,広くその山麓で吹く冬の季節風をさすことが多い。外国ではバルカン半島西部のアドリア海沿岸に吹く北東風のボラ,フランスのローヌ川の河谷に吹く北風のミストラルなどが有名。おろしの特徴は風が強いことで,秒速 50mをこえることもあり,農作物に著しい被害を与えることがある。日本のやまじはその代表である。

オロシ

義太夫節の節章の一つ。通常,記譜は「フシ」とする。情を強調する荘重な文章につけられ,大オトシに次ぐ重厚な旋律。主として時代物に用いられる。大序 (全段の発端) のオロシは特に大オロシといい,長くゆったりとしたもので,これに限り「オロシ」と記譜する。オロシによく似た曲節にオロシカカリがあるが,オロシほど重くない。

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百科事典マイペディア 「オロシ」の意味・わかりやすい解説

おろし(颪)【おろし】

山の方から吹きおろしてくる風。フェーン型とボラ型がある。吹きおろしてくる山の名などをとって赤城おろし,筑波おろし,六甲おろし,那須おろし等の名前がつけられている。

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世界大百科事典(旧版)内のオロシの言及

【風】より

…さらに,このように斜面に沿って吹く風のことを斜面風ともいう。(3)局地風 局地的な地形によって作り出される風を局地風といい,その土地固有の風で〈おろし〉〈フェーン〉〈だし〉などの名で呼ばれている。(4)竜巻 漏斗雲を伴う旋風のことで,不連続線が通過するときや雷雲が発生したとき,あるいは台風の外域などに起こりやすい。…

【太平洋側気候】より

…むしろ冬の季節風が山脈を吹き越えて乾燥し,晴天をもたらす(関東平野の〈空っ風〉が有名)。ときには〈おろし〉という寒冷な強風が吹く。夏は温暖で湿潤な気団を運ぶ小笠原高気圧の影響下にあり,梅雨や台風に直面する。…

【坑道】より

…斜坑や立坑で地下350mまで下り,水平坑道で石炭層に到達するが,ここから斜坑が掘進されている。炭層の下の岩盤の中の斜坑はおろし(卸)斜坑あるいは単におろしと呼ばれるが,坑内展開の基幹坑道で,ここから炭層に平行に片盤(かたばん)坑道を展開し,さらに目貫(めぬき)坑道で炭層に到達する。炭層に到達すると,ここから石炭の中を炭層に沿って沿層坑道を展開して採炭の準備が完了する。…

※「オロシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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