貴殿(読み)キデン

デジタル大辞泉 「貴殿」の意味・読み・例文・類語

き‐でん【貴殿】

[代]二人称人代名詞。男性が目上または同等の男性に対して用いる。あなた。「貴殿の御尽力の賜物と感謝しています」
[補説]もと、目上の相手への敬称として用いたが、のちに、同輩に対する親愛の気持ちを表す語としても用いるようになった。現代では多く手紙や文書で用いる。
[名]相手を敬って、その住宅をいう語。貴宅
六波羅の―へも参ずべし」〈盛衰記・一〇〉
[類語]尊台貴台尊堂貴公尊公けい学兄大兄貴兄賢兄貴下貴君貴所足下御身貴女

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「貴殿」の意味・読み・例文・類語

き‐でん【貴殿】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 他人を敬って、その殿舎をいう語。
    1. [初出の実例]「六波羅の貴殿(キデン)へも参ずべし」(出典源平盛衰記(14C前)一〇)
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 対称。同等もしくは同等以上の男に対し、敬意をもって用いる語。男性が男性に対して使用する語。貴兄。貴堂。
    1. [初出の実例]「貴殿若無指御障。令同道給乎」(出典:明衡往来(11C中か)上末)
    2. 「何と成供、御貴殿之御はからい、悪(あしき)事はあらじとて」(出典:三河物語(1626頃)二)

貴殿の補助注記

江戸前期には、武家が目上の相手を尊敬して呼ぶ語として使用されたが、のちには同輩に対しても用いた。

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