断・判(読み)ことわる

精選版 日本国語大辞典 「断・判」の意味・読み・例文・類語

こと‐わ・る【断・判】

〘他ラ五(四)〙 (「こと(言・事)割る」の意)
① 事の是非、優劣などを言いわける。判断する。判別する。裁く。
書紀(720)大化元年八月(北野本訓)「又、国の司等、国に在りて罪を判(コトワル)こと得じ」
理非を判別して述べる。道理を説く。
徒然草(1331頃)一四一「にぎはひ豊かなれば、人には頼まるるぞかしと、ことわられ侍りしこそ」
※寸鉄録(1606)「後世に、孟子のこれをことはりて、『恵而不政』とのたまへり」
③ 事の内容を理解する。道理を知る。思い知る。
源氏(1001‐14頃)浮舟「帝の御婿にて、飽かぬ事なしとぞ、世の人も、ことはりける」
④ 理由・事情を説明する。
(イ) 理由を述べる。わけを話す。
※京大二十冊本毛詩抄(1535頃)四「其事を注にことはったぞ」
(ロ) あらかじめ知らせて確認しておく。前もって通告する。
浄瑠璃・大経師昔暦(1715)上「『それ久三はさみばこ、暦くばる家によってお引が出る、只取ると思ふな給分に引きつぐ、ことはって置たぞ』と打つれ表に出にけり」
(ハ) 公(おおやけ)の機関などに届け出る。届け出て許可を得る。また、訴える。
※長宗我部氏掟書(1596)一条「不叶時者、奉行人迄可相理也」
(ニ) 書かれたものの内容を説明する。注釈を加える。
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「折角洒落を言っても、傍から註(コトワ)らなければならないやうぢゃ」
⑤ 理由を述べて言いわけをする。弁明する。あやまる。わびる。
※今鏡(1170)九「くち惜しき事は、〈略〉蔵人になるべき由をば奏せざりけるぞ〈略〉と仰せられければ、ことはり申す限りなくて」
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉二「舌を見せると云ふことがあるか、謝(コトハ)りなさい」
⑥ 相手の申し出などを辞退したり、拒否したりする。
※和英語林集成(初版)(1867)「カネヲ カスコトヲ kotowaru(コトワル)
⑦ 関係を断つ。解雇する。くびにする。
夢酔独言(1843)「兵庫が胸が悪ひから、講中も断てやった」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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