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…また政信は,みずから版元奥村屋を経営したように,企画力と実行力に富み,版画表現の新機軸をつぎつぎと打ち出し,長期不況の時期にあってよく浮世絵の活況を持続させた。たとえば,西洋画の透視遠近法をいち早く取り入れて〈浮絵(うきえ)〉という新しいジャンルを開発したり,画面の比率が極端に縦に長い〈柱絵(はしらえ)〉とか,細判を3図分横につなげて一連とする三幅対物などを考案,流行させている。その弟子の利信(生没年不詳),あるいは西村重長が政信と並行して活躍,ほかに鳥居派様式を形式化させた2代清信,2代清倍の役者絵が一般の支持を集めて多産された。…
…以後,墨摺絵,丹絵,紅絵,漆絵,紅摺絵と浮世絵版画の初期の発達段階をすべて経験し,終始中心的な人気絵師として活躍,錦絵時代に入る前の年に没している。得意とした画域は美人画,役者絵,武者絵,花鳥画,風景画と広く,西洋画の透視遠近法を応用した浮絵(うきえ)を工夫,あるいは極端に縦長な画面の幅広柱絵という判式を創案して,〈浮絵根元〉〈はしらゑ根元〉などと自称した。こうした自己宣伝の癖は,享保(1716‐36)の中ごろから自ら絵草紙問屋奥村屋を経営したことと無縁ではない。…
※「柱絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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