毛抜き(読み)ケヌキ

デジタル大辞泉 「毛抜き」の意味・読み・例文・類語

け‐ぬき【毛抜き/×鑷】

毛・とげなどをはさんで抜き取る金属製の道具。U字形で、先端がぴったり合わさるように内側に曲げてある。
[補説]作品名別項。→毛抜

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改訂新版 世界大百科事典 「毛抜き」の意味・わかりやすい解説

毛抜き (けぬき)

古くは鑷,鑷子とも書いた。エジプト第1王朝期ではすでに毛抜きが存在し,紀元前後以降は世界各地で使用されていた。日本でも後期古墳の副葬品として発見されている。江戸時代以前は剃刀かみそり)は僧侶剃髪に用いられ,一般に頭髪,眉(まゆ),鼻毛,鬚(あごひげ)を抜くのには毛抜きが用いられた。《枕草子》には,〈ありがたきもの〉として〈毛のよく抜くるしろがねの毛抜〉がみえており,銀製が珍重されたようであるが,一般には青銅製が多かった。江戸時代には,歌舞伎《毛抜》で磁石により毛抜きが引きつけられる場面もあり,鉄製が普及していたという。月代(さかやき)の毛を抜くためには,木鑷(げつしき)と称する,木製の毛抜きも使われた。剃刀が一般に広まると,毛抜きはおもに鬚を整えることに使用されるようになり,たばこ盆に身のまわり用品の一つとして毛抜きを備えることも多く,〈書院毛抜〉と称した。現在では魚の小骨とりや,裁縫用,医療用もある。欧米ではトウィーザズtweezersというピンセット型のものを用いる。
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