月代(読み)さかやき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

月代
さかやき

成人した男子が冠または烏帽子の下にあたる額ぎわの頭髪を半月形に丸く剃った部分。中世の武士は鉄製の兜をかぶったが,頭が蒸れるので,兜の頂上に通気孔を開けて,その穴の真下の髪を剃った。空気が抜けるので,逆息 (さかいき) といい,その音便とするものや,逆明 (さかあき) の転じたものとする説がある。戦国時代には,月代を剃っていることが勇敢さの印にもなり,武家の男子が成人になると兜をかぶらないでも,月代を剃るようになった。江戸時代になると,一般民衆の間にも行われ,明治4 (1871) 年の散髪奨励の頃まで続いた。 (→元服 )  

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デジタル大辞泉の解説

さか‐やき【月代】

古代以後、成人男子が常に冠や烏帽子(えぼし)をかぶったためにすれて抜け上がった前額部。つきしろ。つきびたい。
中世末期以後、成人男子が前額部から頭上にかけて髪をそり上げたこと。また、その部分。

つき‐しろ【月代】

月。
「五つ時の空には地上を照らす―とてもない」〈藤村夜明け前
さかやき」に同じ。

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百科事典マイペディアの解説

月代【さかやき】

男性が前額から頭の中央にかけて髪を丸くそり落とした風習。武士が戦場で兜(かぶと)をかぶると熱気がこもって苦痛であるため起こった風習で,早く平安時代からあったという。初めは戦争が終わると髪をのばしたが,やがて常時月代をそるようになり,江戸の太平の世にも行われ,一般男性に定着して明治の断髪令まで続いた。
→関連項目髪形総髪

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世界大百科事典 第2版の解説

さかやき【月代】

男性の髪形の部分名称。中世の貴族たちが烏帽子や冠をつける場合,額に毛髪が見えぬように毛を抜いたのが始まりという。本格的に広く剃り上げるようになったのは戦国時代で,武士たちが戦場で兜をかぶると,熱がこもって気が逆上するため,頭上を丸く剃り気を抜いたというのが定説となっている。この風習は江戸時代まで続き,元禄期(1688‐1704)ころまでは頭上を広く剃り上げ,後期になるに従い剃り上げの部分が徐々にせまくなる傾向にあった。

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大辞林 第三版の解説

さかやき【月代】

平安時代、男子が冠や烏帽子えぼしをかぶったとき、髪の生え際が見えないように額ぎわを半月形にそり上げたもの。つきしろ。つきびたい。ひたいつき。
室町後期以後かぶりものを省く露頂の風が一般化する中で、成人男子が額から頭の中ほどにかけて髪をそったこと。また、その部分。庶民の間にも広く見られ、明治の断髪令当時まで続いた。

つきしろ【月代】

月。 「 -ガミエタ/日葡」
さかやき」に同じ。 「 -白き入道/沙石 6

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

月代
さかやき

封建社会時代に行われた男子の髪結い法の一種。頭髪の蒸れによって、のぼせるのを防ぐために編み出されたもので、頭髪を額から百会(ひゃくえ)(頭の中央部)にかけて剃(そ)り上げることである。最初は半月のような形をしていて、中剃り的なものであった。元来、公家(くげ)、武家ともに日常生活で頭に冠(かんむり)や烏帽子(えぼし)を着用したが、戦乱が続くようになって、甲冑(かっちゅう)姿で頭が蒸れるところから、百会に月代をあけ、戦いが終わると同時にもとに戻していた。しかし、室町時代に入って応仁(おうにん)の乱など戦いが長く続くようになってからは日常化し、それがいつとはなく、戦乱が終わったのちでも、月代をあけておくのが習わしとなった。それも最初は小さな月代であったのが、だんだんと大きくなっていった。
 月代は剃刀(かみそり)で剃(そ)るのではなく、天正(てんしょう)年代(1573~92)まで毛抜きを用いて頭髪を抜いたのである。つまり月代の拡大化は、露頂の風潮を増長し、江戸時代に入って、さまざまの髷(まげ)形を生んだ。しかし明治に入って、1871年(明治4)の散髪令により、月代の風習は廃れていった。[遠藤 武]

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世界大百科事典内の月代の言及

【髪形】より

…長い髪を頭上や後頭部に束ねた束髪は雑兵など身分の低い者にみられ,唐輪は後世の稚児髷のような髪形で,鎌倉時代ごろから武家の若党や稚児などが結った。また鎌倉時代からは,額から頭頂にかけて髪を円く剃りあげる月代(さかやき)の風習も武家の間で広まった。この形の起りは諸説あるが,戦場で冑をかぶるおりに熱気がこもるためというのが定説になっている。…

※「月代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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