環境不祥事(読み)かんきょうふしょうじ

知恵蔵 「環境不祥事」の解説

環境不祥事

大企業による環境データの隠滅や改ざんが目立つ。2007年3月31日、電力11社は、原子力、火力水力発電所で計306件の改ざん、隠蔽(いんぺい)の事実を公表した。東京電力では、柏崎刈羽原発6号機で1996年に4本の制御棒が脱落、98年には福島第一原発4号機で34本の制御棒が脱落、99年には北陸電力の志賀原発1号機で臨界事故が起きながら隠蔽されていたことが分かった。電気事業連合会会長も兼ねる勝俣恒久東京電力社長は、甘利明経済産業大臣を訪ね、「法令順守の意識が組織の隅々まで徹底していなかった」と謝罪した。水力発電では2006年11月、中国電力のダムで測量データの改ざんが発覚し、それを重視した国土交通省が10電力会社に調査を指示。全国67の水力発電ダムで取水量などのデータを改ざん、520のダムが河川法で許可の必要な工作物を無許可で設置したりしていたことが分かった。28道府県、独立行政法人の水資源機構などでも321件の不適切な事例が判明、青森、岩手山形など6道県と水資源機構などの28施設で許可量を超えた取水を行っていた。これに先立ち、JFE(千葉市)、昭和電工(千葉県市原市)、出光興産愛知製油所(愛知県知多市)、神戸製鋼所加古川製鉄所(兵庫県加古川市)などで、水質大気排出基準を超過した記録を基準値内に書き換えたりして自治体に提出していたことが分かっている。▼厳しい競争にさらされ、人減らしを進めたことへの反動▼公害問題が一段落し、チェック体制がおろそかになったことなどが原因として指摘されている。

(杉本裕明 朝日新聞記者 / 2008年)

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