昭和電工(読み)しょうわでんこう

共同通信ニュース用語解説 「昭和電工」の解説

昭和電工

石油化学大手の一角。事業の多角化を進めており、2016年にはドイツ企業から黒鉛電極事業を営む子会社を買収すると発表した。電炉向け黒鉛電極で世界首位のほか、ハードディスクなどでも存在感を示す。18年12月期連結決算は、売上高が前期比27・1%増の9921億円、純利益が約3倍の1115億円だった。従業員数は1万476人。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「昭和電工」の意味・わかりやすい解説

昭和電工(株)
しょうわでんこう

芙蓉(ふよう)系の大手総合化学会社。1939年(昭和14)、ともに森矗昶(のぶてる)が社長をしていた日本電気工業と昭和肥料が対等合併して設立された。第二次世界大戦前の森コンツェルンの中核企業。日本電気工業の前身日本沃度(ようど)は1926年(大正15)創業。ヨード等を生産していたが、日本初のアルミニウムの工業化に成功して1934年(昭和9)に日本電気工業と改称した。昭和肥料は1928年創業。余剰電力を利用して、国産技術東京工業試験所法による硫安製造に携わった。昭和電工として新発足後は、時局の要請でアルミニウム生産が社業の中心となった。第二次世界大戦後は石油化学にも進出。昭和油化、徳山石油化学などの関係会社を設立して、ポリエチレンポリプロピレン酢酸ビニルなどの製造を開始した。1969年(昭和44)には大分県鶴崎(つるさき)地区に総合石油化学コンビナートを建設。グループ各社が種々の石油化学製品を生産している。いわゆる新潟水俣(みなまた)病裁判では損害賠償を認めた第一審判決に服した。1979年昭和油化と、99年(平成11)徳山石油化学と合併。2001年には昭和アルミニウムと合併している。ファイン新素材に積極的に取り組んでいる。資本金1219億円(2008)、売上高7096億円(2007)。川崎、大町(長野県)などに工場をもつ。

[橘川武郎]

『昭和電工株式会社社史編集室編『昭和電工五十年史』(1977・昭和電工株式会社)』『麻島昭一・大塩武著『昭和電工成立史の研究』(1997・日本経済評論社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「昭和電工」の意味・わかりやすい解説

昭和電工[株] (しょうわでんこう)

総合化学会社の大手。1908年森矗昶(のぶてる)が総房水産(株)を創立し,同社は19年東信電気に合併され,28年,東信電気(株)と東京電灯の共同出資により昭和肥料(株)が設立され,硫安,石灰窒素の生産を始めた。一方,1926年日本沃度(株)が森矗昶によって設立された。同社は総房水産(株)の館山工場,興津工場でヨードなどの生産を行っていたが,その後アルミニウムの初の国産化やフェロアロイ,電極などの製造に進出し,34年日本電気工業(株)と改称した。39年昭和肥料(株)と日本電気工業(株)が合併して昭和電工(株)が設立された。第2次大戦後は硫安の増産をてこに業容を拡大する一方,55年ころにはアンモニアの製法転換をきっかけに石油化学に進出,57年に昭和油化を設立,59年より高密度ポリエチレンの製造を開始した。その後,誘導品企業化を推進するとともに65年以降大分コンビナートを建設してナフサ分解部門に進出,79年の昭和油化吸収合併により石油化学事業は同社の中核事業となった。昭和30年代の同社発展を支えたアルミニウム部門を1976年に分離したが,2001年再び子会社の昭和アルミニウムを合併した。なお医薬品,バイオプロダクツ,機能性高分子などファイン部門の拡充に力を入れている。売上構成は石油化学37%,アルミニウム30%,電子・情報16%など(2005年12月期)。資本金1105億円(2005年5月),売上高8119億円(2005年12月期)。
執筆者: 昭和電工は,阿賀野川河口部に発生した阿賀野川有機水銀中毒事件,いわゆる新潟水俣病事件で被告として訴えられた。これは同川の上流にある昭和電工鹿瀬工場のアセトアルデヒド合成工場から排出された有機水銀によって発生したいわば〈第2の水俣病〉である。四大公害訴訟のうちいちばん早く,1971年9月29日新潟地方裁判所により原告勝訴の結論が下され,昭和電工の控訴断念で有罪が確定した。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「昭和電工」の意味・わかりやすい解説

昭和電工[株]【しょうわでんこう】

1939年日本電工と昭和肥料が合併,森コンツェルンの中心企業として設立。旧芙容系の総合化学会社。第2次大戦後肥料重点から石油化学に重点を移した。エチレン,ポリエチレン,化学品,炭素などを生産。ファインケミカル,新素材,電子材料分野にも力を注いでいる。近年は,ハードディスクが好調を持続し,電子・情報部門が稼ぎ頭。本社東京,事業所大分,川崎,塩尻,秩父ほか。2011年資本金1405億円,2011年12月期売上高8541億円。売上構成(%)は,石油化学29,化学品14,エレクトロニクス19,無線8,アルミニウム14,その他16。海外売上比率35%。→化学工業
→関連項目新潟水俣病三木睦子水俣病森矗昶

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「昭和電工」の意味・わかりやすい解説

昭和電工
しょうわでんこう

石油化学とアルミニウムを主力とする総合化学メーカー。森矗昶により 1926年旧総房水産を母体とする日本沃度として設立。 34年日本最初のアルミニウムの工業化に成功して日本電気工業と改称。 39年日本初の国産方式による硫安の生産に成功していた昭和肥料 (1928設立) と合併し現社名に変更。 43年日満アルミニウム合併。 57年には昭和合成化学を合併するとともに石油化学の分野に進出し,69年大分県鶴崎に石油コンビナート完成。 79年昭和油化を合併。近年はニューセラミックス・化合物半導体等の新素材やエンジニアリングの分野にも進出している。芙蓉グループ。売上構成比は,石油化学 30%,化学品 16%,電子・情報 22%,無機材料 13%,アルミニウム 19%。年間売上高 7309億 500万円 (連結。うち輸出 22%) ,資本金 1054億 4800万円 (1998) ,従業員数 4199名 (1999) 。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「昭和電工」の解説

昭和電工

正式社名「昭和電工株式会社」。英文社名「Showa Denko K.K.」。化学工業。昭和14年(1939)「日本電気工業株式会社」と「昭和肥料株式会社」が合併し設立。本社は東京都港区芝大門。総合化学工業会社。合成樹脂など石油化学製品とアルミニウム製品が主力。人造黒鉛電極やハードディスクなども手がける。東京証券取引所第1部上場。証券コード4004。

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世界大百科事典(旧版)内の昭和電工の言及

【阿賀野川有機水銀中毒事件】より

…1965年6月,新潟大学椿忠雄が新潟県下の阿賀野川下流流域に居住する漁民に水俣病患者が集団的に発生していると公表した。原因は,河口から六十数km上流にある昭和電工鹿瀬(かのせ)工場のアセトアルデヒド製造工程から流された排水中のメチル水銀化合物によるものであったが,昭和電工は,新潟地震の際,新潟港埠頭(ふとう)倉庫に保管されていた水銀農薬が津波に流され,信濃川から日本海に出,塩水くさびによって阿賀野川下流を汚染したとして抗争したため,67年6月,患者が昭和電工を被告とする日本初の本格的公害裁判を提起した。71年9月,新潟地方裁判所は,原告患者全面勝訴の判決をだし,この裁判は確定した。…

【昭電疑獄】より

…1948年に政治問題となった,復興金融金庫から昭和電工株式会社への融資にからむ贈収賄事件。昭和電工は森コンツェルンの重要な総合的化学工業会社であったが,戦災のため中心の川崎工場が壊滅的な打撃を受けた。…

【森コンツェルン】より

…満州事変期以降,金輸出再禁止,為替下落に伴う輸入障壁の形成と軍需景気に助けられて,彼の事業は躍進し,37年には,日本電気工業(日本電工,1934年日本沃度が社名変更)のアルミニウム,昭和肥料の硫安,昭和鉱業(1934設立)の非鉄金属採掘を中心に直系会社5社,直系の日本電工・昭和鉱業の子会社13社,関係会社10社を傘下に有する一大コンツェルンとなり,これらの公称資本金合計は3億8695万円に及んだ。日中戦争期に入るや,39年に日本電工と昭和肥料が合併して昭和電工となり,同社がこのコンツェルンの中核となった(森が社長に就任)。他方,40年に昭和鉱業が帝国鉱業開発に売却されたため,第2次大戦終戦時の森コンツェルンの構成は,アルミニウム・肥料製造を中心とする昭和電工と,軽合金・特殊鋼分野への進出に伴って42年に日本火工が改称した日本冶金工業を二大支柱としていた。…

※「昭和電工」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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