県神社(読み)あがたじんじや

日本歴史地名大系 「県神社」の解説

県神社
あがたじんじや

[現在地名]宇治市宇治蓮華

平等院南門の西一〇〇メートルほどの地に鎮座祭神木花開耶姫このはなさくやひめ命。旧村社。社名は、祭神の別名を吾田津姫というところからとも、また古代の宇治うじ県の守護神として創建されたからともいわれるが、「蜻蛉日記」の再度の初瀬はせ詣の記事で、宇治川左岸の地に「あがたの院」が記されることや、「県井戸」の存在などから、後者の説が有力である。近世の「山州名跡志」は「土人アナタノ社ト云ハ、例ノ片言ナルベシ、所祭弓削道鏡霊云々、或説宇治悪左府ヲ祭ルト」などと記す。平等院の鬼門に祀られることから平等院の創建当初に鎮守社とされたといわれる。しかしその歴史は近世以前の史料がなく不詳である。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の県神社の言及

【雑魚寝】より

…東京都府中市の大国魂(おおくにたま)神社の5月5日の例祭が暗闇(くらやみ)祭と称されるのは,神輿渡御の際,その道筋の家々が灯を消したことによる。宇治市の県(あがた)神社の県祭は6月5日(かつては5月5日)から6日の未明にかけて行われるが,梵天に神移しの儀が執り行われた後はいっさいの灯火が禁じられる。沿道の家々では男女が雑魚寝してお渡りを待ち,性的な行いも伴うので,種もらい祭ともいわれた。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」