寺社が秘蔵している仏像・霊宝などを一定期間,境内から他所に出張して公開すること。寺社でなされる居開帳(いかいちょう)の対。近世以降盛んになり,とくに信濃善光寺の阿弥陀如来,成田山新勝寺の不動明王などの江戸出開帳は,庶民の行楽として隆盛をきわめた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…有名寺社の場合は膨大な人数を動員できたので,これを当て込む芝居の興行,草双紙の出版,際物(きわもの)商品の販売なども盛んで,居開帳の場合は門前町も潤うなど種々のご利益があった。開帳には,自坊で行う居開帳と,他の場所で行う出開帳とがあった。江戸の場合,居開帳では浅草寺観音を筆頭に江の島弁天,護国寺観音,亀戸天神,洲崎弁天など,出開帳では成田不動,嵯峨清凉寺の釈迦,信州善光寺如来,甲州身延山祖師が四天王と称されて人気があった。…
…07年には慶長以来の弥勒寺末を離れて,嵯峨大覚寺の直末となり,さらに京都醍醐派別格本山の金剛王院兼帯の令旨を受けるなど,寺格も昇進した。開帳が始まるのもこのころからで,江戸で最初に出開帳が行われたのは1703年(元禄16)のことである。〈江戸にて開帳あるに何時にても参詣群聚するは善光寺の弥陀と清涼寺の釈迦仏また成田の不動などなり〉と《嬉遊笑覧》にあるように,これより江戸出開帳の三本指に数えられるほど人気を集めた。…
※「出開帳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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