鬼門(読み)きもん(英語表記)Gui-men

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

鬼門
きもん
Gui-men

方角に関するタブーの一種。中国の陰陽五行説その他の思想が組合わさり,万鬼が出入りするとして忌み嫌われた方角,すなわち東北 (〈うしとら〉) をいう。

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デジタル大辞泉の解説

き‐もん【鬼門】

陰陽道(おんようどう)で、邪悪な鬼が出入りするとして万事に忌み嫌われた艮(うしとら)(北東)の方角。また、その方角にあたる場所。
行くと悪いことに出あう場所。また、苦手な人物や事柄。「あそこの家はどうも鬼門だ」「数学は鬼門だ」

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世界大百科事典 第2版の解説

きもん【鬼門】

陰陽道(おんみようどう)でもっとも悪いとされる丑寅(うしとら)(艮)すなわち北東の隅をいう。これを表鬼門とし,また,その正反対の未申(ひつじさる)(坤)すなわち南西方も裏鬼門として忌み嫌った。ことに大工はいまでもこの方角への建築を忌み,とくに屋敷内の鬼門に当たる方角に便所,玄関,風呂場などを造るのはよくないなどという。その他,鬼門に建物を建てるとよくないとか,鬼門の方と縁組をすると死ぬ,鬼門に当たる木を伐ると死ぬなどという。

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大辞林 第三版の解説

きもん【鬼門】

陰陽道おんようどうで、鬼が出入りするとされる、不吉な方角。艮うしとら(東北)の方角。 「 -にあたる」
俗に、行くとろくな目にあわない所。また、苦手とする人物や事柄。

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家とインテリアの用語がわかる辞典の解説

きもん【鬼門】

陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)で、鬼が出入りするとして忌(い)み嫌われた、艮(うしとら)(北東)の方角。家相では、出入り口や便所を作ってはいけないとされる。◇「鬼方(きほう)」ともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

鬼門
きもん

丑寅(うしとら)すなわち北東の隅にあたる方角をいう。陰陽師(おんみょうじ)がいい始めたことで、この方角は鬼が出入りし集まる所といい、これを犯すことを忌んだ。中国から移入された説であるが、東方朔(とうぼうさく)の『神異経(しんいけい)』などによると神荼(じんだ)、鬱壘(うつるい)の2悪神がいる方角が鬼門だとある。わが国へは平安時代に鬼門説が移入されたと思われるが、正確な文献が見当たらない。桓武(かんむ)天皇が王城を平安京に移したとき、鬼門除(よ)けとして比叡山(ひえいざん)延暦寺(えんりゃくじ)を建立したというが、それはのちになってからの説のようである。はっきりわかっているのは『吾妻鏡(あづまかがみ)』嘉禎(かてい)元年(1235)正月の条に、五大堂建立の地が幕府の鬼門にあたっているとの記載である。江戸城に対しても同様の理由から東叡山寛永寺を建立したという。今日においても、一般民家の建築に鬼門に対する警戒がみられ、この方角に便所や浴室を設けることを避けている。鬼門除けと称して、この方角に稲荷(いなり)などを屋敷神として祀(まつ)ることが広く行われている。鬼門に対する俗信はきわめて多い。鬼門に向けて家を建てるなとか、この方角に出入口を設けたり、家の出っ張った所をつくるなという。これを犯すと病人や災難が絶えない、また分家を鬼門の方に出すと本家が成りたたぬともいう。鬼門の方角に常緑樹とくにエンジュの木を植えておくとよいという。鬼門と正反対の方角すなわち未申(ひつじさる)(南西)の方角を裏鬼門または病門(びょうもん)といい、鬼門と同様に忌み警戒されている。[大藤時彦]

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精選版 日本国語大辞典の解説

き‐もん【鬼門】

〘名〙 (鬼の出入りする門の意)
① 艮(うしとら)、すなわち北東の方角。また、その方角にあたる所。陰陽道で、陰悪の気が集まり、百鬼が出入りするという。鬼方(きほう)
叡岳要記(鎌倉中)上「東塔縁起云〈略〉廃長岡京、遷平安城之時、雲峯峙帝都之丑寅、嵐径成鬼門之凶害
※平家(13C前)二「叡岳も、帝都の鬼門に峙ちて、護国の霊地也」 〔神異経‐北荒経〕
② 行くのがいやな所。一般的に、その人にとって、いやな、にが手な人・場所・事柄についてもいう。
※俳諧・大坂独吟集(1675)上「関札のかすみや春をしらすらん 鬼門にあたる鶯の声〈三昌〉」
※蠢く者(1924)〈葛西善蔵〉「あの九月一日の地震当時の思ひ出━鬼門々々、あれが一切の破壊者だったのだ」
[語誌](1)①は挙例のように既に中国の書物に見える。
(2)陰陽道では、鬼門には陰悪の気が宿り、百鬼が出入りするという考えから、出行や修造などでは常にこの方角に注意を払った。このような鬼門の方向を忌む信仰は、九世紀あたりには見えるが、殊に盛んになったのは院政期であった。
(3)方位の四隅のうち、鬼門の他は北西を天門、南東を地門、南西を人門とする。

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世界大百科事典内の鬼門の言及

【家相】より

…家相はその居住者の吉凶を左右すると信じられ,さまざまな俗信が生まれた。とくに家の北東隅は鬼門といって悪い方角とされ,台所,便所,出入口,窓などを作るのを忌んだり,欠込みを設けて災難除けとした。屋敷選定の上では〈尾先(山の下り口),谷口,宮の前〉のほか,三隅屋敷(三角形の宅地)や池鏡(家屋が池に映る)が嫌われる。…

【方違】より

…外出するのにその方角が禁忌とされる場合,前日に他の方角へ赴いて泊まり,そこから目的の地にゆくものである。方忌の根拠としては生年の干支である本命から個人的に凶方を割り出し,これを避けるものと,天一神(中神(なかがみ)),太白神,金神,王相,八将神,土公神などの諸神が遊行する方角や鬼門を忌む人々に共通のものとがある。前者は865年(貞観7)8月21日に清和天皇が東宮より内裏に移ろうとしたとき,天皇の本命が庚午で,東宮より内裏の方向である乾は絶命に当たるゆえ避けらるべきことを陰陽寮が上奏し,このためいったん太政官曹司庁に入っており,これが初例とされている。…

【寛永寺】より

…1625年(寛永2)天海が幕府の命により創建。比叡山が京都の鬼門(北東)にあたるのに対して,寛永寺は江戸の鬼門にあたり東叡山と号して,江戸城鎮護と国家安穏長久を祈願した。将軍家のほかに御三家や諸大名が諸堂宇を寄進して,一山36坊の大伽藍が出現した。…

【方位】より

…これらの考え方は,修験者,陰陽師(おんみようじ),祈禱者によって民間に流布したものである。 外来の方位で最も恐れられたのは,陰から陽に転ずる鬼門(丑寅(うしとら))の北東,陽から陰に転ずる裏鬼門(未申(ひつじさる))の南西である。鬼門は悪霊の来る方位とされ,屋敷神を置いたり,京都に対する比叡山のように寺を置いて鎮護したりした。…

※「鬼門」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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