税務行政の適正手続(読み)ぜいむぎょうせいのてきせいてつづき

知恵蔵 「税務行政の適正手続」の解説

税務行政の適正手続

適正手続は、誰もが法の適正な手続きによらなければ生命・自由または財産を奪われないという原則。日本国憲法は適正手続の規定を置き(31条、13条)、また、国家権力の行使者に対して憲法を尊重し擁護する義務を課している(99条)。1974年、衆院大蔵委員会(当時)は「税務行政の改善については税務調査に当たり、事前に納税者に通知するとともに、調査の理由を開示すること」とする適正手続に関する請願を採択した。また、行政手続法は、「処分、行政指導及び届出に関する手続に関し、共通する事項を定めることによって、行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が国民にとって明らかであることをいう)の向上を図り、もって国民の権利利益の保護に資すること」が目的としている(1条)。課税庁が納税者に修正申告を勧めるなどの行為は行政指導であり、同法35条では「行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない」として適正手続がうたわれている。

(浦野広明 立正大学教授・税理士 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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