絶戸田(読み)ゼッコデン

デジタル大辞泉 「絶戸田」の意味・読み・例文・類語

ぜっこ‐でん【絶戸田】

律令制で、絶戸口分田。官に返納しないで、隠れて耕作するものが多かった。

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精選版 日本国語大辞典 「絶戸田」の意味・読み・例文・類語

ぜっこ‐でん【絶戸田】

〘名〙 絶戸の口分田。絶戸に班給されていた口分田。官に返納されるべきものであるが、いつわってこれを耕作する者が多かった。絶戸口分田。
三代格‐二〇・貞観一七年(875)八月二二日「一応隠領絶戸田他彼告者依法科罪事」

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改訂新版 世界大百科事典 「絶戸田」の意味・わかりやすい解説

絶戸田 (ぜっこでん)

律令制下で全戸口が死に絶えた戸を絶戸といい,その戸の占有していた口分田を絶戸田という。令の規定では,絶戸に五等以上の親族がない場合には,絶戸の有していた家人(けにん)・奴婢(ぬひ)や田宅資材は五保が共同で管理し,財物は死者供養に用い,家人・奴婢は解放,田地園地は収公することになっていた。9世紀に入り,班田収授法衰退に伴って絶戸田の収公がルーズになると,とくに畿内ではこれを隠田として占有する在地の有力者が現れるようになり,中には数百戸分の絶戸田を領する者まであった。政府は844年(承和11)畿内諸国に班田収授を実施しようとして,位階昇進その他の恩典を与えて絶戸田の申告を奨励し,875年(貞観17)には申告者に3年間を限って地子半減の恩典つきで耕作権を認めるという譲歩までして申告を促すとともに,無申告が判明した場合には律によって処罰することを定めたが,この傾向をとどめることはできなかったようである。
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