五保(読み)ゴホ

デジタル大辞泉 「五保」の意味・読み・例文・類語

ご‐ほ【五保】

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精選版 日本国語大辞典 「五保」の意味・読み・例文・類語

ご‐ほ【五保・伍保】

  1. 〘 名詞 〙 令制での末端行政組織。原則として近隣五戸で構成し、相互監察、口分田代耕などの義務を課せられた。
    1. [初出の実例]「伍保中政戸国造族与利」(出典:正倉院文書‐大宝二年(702)御野国味蜂間郡春部里戸籍)

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改訂新版 世界大百科事典 「五保」の意味・わかりやすい解説

五保 (ごほ)

古代律令制下の隣保制。唐制にならったものであるが,日本では唐の隣の制度は継受せず,ただ保の制度のみを採用した。5家(5戸のこと)をもって1保を構成したので五保と称する。保には保長が置かれ,50戸からなる里の下部組織として,保内の相互検察,貢租徴税の確保などの義務が課された。保内の人の他行や止宿者の相互告知,保内の逃走戸の追訪と田地の代耕,租調代輸などはその一端で,大宝令の注釈書である《古記》は,僻遠の地で25戸以下の場合は里長を置かず,保長をして賦役を催駆せしめるとしている。五保の初見は《日本書紀》白雉3年(652)4月の条であるが,これは大宝令文の転載である疑いが強い。その確実な実例は702年(大宝2)の美濃国戸籍にみえるが,その後籍帳上の戸と実態としての家との乖離が進むにつれ,しだいに5戸1保の関係は崩れ,元来地縁的な性格をもつ保は家を基礎とする地域化の傾向をたどったらしい。
隣保制
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「五保」の解説

五保
ごほ

古代に住民支配のために設けられた連帯責任組織。5戸を一つの単位として組織し,統轄者として保長(ほちょう)をおいた。唐制に由来戸令には,犯罪の防止,浮浪・逃亡監視,さらに逃亡の場合には五保が捜索し,租税を代納することが定められた。実例としては702年(大宝2)御野(みの)国戸籍の例が早く,その後衰退したが,1004年(寛弘元)の讃岐国戸籍にもかたちをかえながら記載がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五保」の意味・わかりやすい解説

五保
ごほ

令制(りょうせい)下の末端行政組織。保ともいう。

[編集部]

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百科事典マイペディア 「五保」の意味・わかりやすい解説

五保【ごほ】

律令制村落内部の隣保組織。唐制の模倣。近隣の五家(五戸のこと)をもって一保を編成したので五保と称する。50戸から成る里(り)の下部組織とされ,治安維持・相互扶助・納税・債務弁済などに共同責任をとらされた。江戸時代の五人組は五保の復活とみられる。

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旺文社日本史事典 三訂版 「五保」の解説

五保
ごほ

律令制における末端行政組織
保ともいう。5戸をもって保を編成。保長は保内の相互検察,逃亡戸の捜索,租税代納,旅行者や宿泊者を告知する義務を負った。公民の掌握をねらったものであるが,律令制衰退とともに崩壊した。

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世界大百科事典(旧版)内の五保の言及

【保】より

…(1)律令制下で,郷(里)の下に置かれた末端行政組織。5戸をまとめて保とし(五保ともいう),保長のもと治安維持,徴税などについて,連帯責任を負わされていた。702年(大宝2)の美濃国戸籍にみえるのが確実な例であるが,それ以後の籍帳にはほとんどみえず,しだいに地縁的に家を基準にして組織されるようになった。…

※「五保」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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