胃歯(読み)イシ

デジタル大辞泉 「胃歯」の意味・読み・例文・類語

い‐し〔ヰ‐〕【胃歯】

エビなどの甲殻類の胃の内面にあるキチン質の硬い突起食物を砕く役割をする。
軟体動物アメフラシなどの胃壁にある粒状体。食物を砕くと同時に、消化酵素を出す。

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精選版 日本国語大辞典 「胃歯」の意味・読み・例文・類語

い‐し ヰ‥【胃歯】

〘名〙
① 軟体動物のアメフラシ類にみられる胃の前方に並ぶ十数個の堅い粒状体。消化酵素を含み、食物を砕く働きをすると同時に、酵素も供給する。胃板(いばん)
② エビ、カニなどの甲殻(こうかく)類において、胃の内面にある炭酸カルシウムを多く含んだキチン質の突起。食物を砕く働きをする。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「胃歯」の意味・わかりやすい解説

胃歯
いし

軟体動物後鰓(こうさい)類のアメフラシなどの胃壁上にある粒状の固い構造のこと。胃板ともいう。各種の消化酵素を含み、食物を摩砕するとともに、それ自体もすり減り、消化酵素を消化液中に放出する。軟体動物の二枚貝などにみられる胃楯(いじゅん)と相同であるといわれる。胃楯は消化酵素を含む晶体を摩耗し、酵素を供給するのに役だっている。

 なお、節足動物甲殻類のザリガニなどで胃の内面にあるキチン質の突起も胃歯とよばれ、食物の破砕に役だっている。

[高橋純夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「胃歯」の意味・わかりやすい解説

胃歯
いし
gastric tooth

(1) 軟体動物の後鰓類の胃壁上にみられるやや硬い粒状体。十数個並び,食物を摩砕しつつそれ自身も摩耗して消化液に酵素を供給する。 (2) 節足動物十脚類の胃の内面にあるキチン質の突起。食物の破砕に関係する。

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