高丘河内(読み)たかおかのかわち

改訂新版 世界大百科事典 「高丘河内」の意味・わかりやすい解説

高丘河内 (たかおかのかわち)

奈良時代の渡来系の官人で文人生没年不詳。楽浪(さざなみ河内とも。藤原仲麻呂の乱を告発した高丘比良麻呂の父。父沙門詠は663年(天智2)に百済から帰化したという。712年(和銅5)播磨大目従八位上のとき,正倉を造り治功があったとして位1階を進められ物を賜った。721年(養老5)文章の道で学業に優れ師となるにたえるとして賜物を得ている。このとき正六位下。724年(神亀1)には高丘連の姓を賜った。731年(天平3)外従五位下に進み,右京亮となる。741年には遣わされて恭仁(くに)京の百姓への宅地班給にあたった。翌年造宮輔とみえ,紫香楽(しがらき)行幸に際して造離宮司に任じられた。746年従五位下に昇り,伯耆守となる。さらに751年(天平勝宝3)従五位上,754年正五位下に叙せられる。子比良麻呂の卒伝によれば最後は正五位下大学頭であった。《家伝》下に神亀のころの文雅の人として挙げられ,《万葉集》にも歌を伝えている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「高丘河内」の解説

高丘河内 たかおかの-かわち

?-? 奈良時代の官吏,歌人
高丘比良麻呂の父。はじめ楽浪(さざなみの)河内と称したが,高丘連(むらじ)の氏姓をうける。養老5年(721)首皇子(おびとのおうじ)(のちの聖武天皇)につかえ,文章にすぐれ師とするにふさわしい人物として賞される。天平勝宝(てんぴょうしょうほう)6年大学頭に任じられた。「万葉集」に短歌2首がみえる。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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