木村久夫(読み)キムラ ヒサオ

20世紀日本人名事典 「木村久夫」の解説

木村 久夫
キムラ ヒサオ

昭和期の学徒兵 戦争犯罪人として刑死した学徒兵。



生年
大正7(1918)年4月9日

没年
昭和21(1946)年2月13日

出生地
大阪府吹田市

経歴
昭和17年京大入学直後、応召、1年後、インド洋のカーニコバル島に送られ、独立混成第36旅団の陸軍上等兵で敗戦を迎えた。スパイ容疑の島民処刑事件で取り調べの通訳をしたため、戦後、イギリス軍の軍事裁判に回され、上官犠牲死刑判決を受け、21年2月13日シンガポールで処刑された。チャンギー監獄で田辺元の「哲学通論」の余白に、無実であることを克明に書き残した。この手記は、高知高校時代の師で政治学者の塩尻公明によって「或る遺書について」として紹介され反響を呼んだ。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「木村久夫」の解説

木村久夫 きむら-ひさお

1918-1946 昭和時代前期の学徒兵。
大正7年4月9日生まれ。京都帝大入学後に応召。陸軍上等兵。インド洋カーニコバル島での島民処刑事件で通訳をつとめたため責任をとわれ,イギリス軍の軍事裁判をうけ,昭和21年5月23日シンガポールで刑死。28歳。愛読書の余白にのこした手記が,23年に旧制高知高時代の師塩尻公明の「或る遺書について」で紹介された。大阪出身。
格言など】日本軍隊のために犠牲になったと思えば死に切れないが,日本国民全体の罪と非難とを一身に浴びて死ぬのだと思えば,腹も立たない。笑って死んで行ける(遺書)

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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