β酸化(読み)ベータサンカ

デジタル大辞泉 「β酸化」の意味・読み・例文・類語

ベータ‐さんか〔‐サンクワ〕【β酸化】

脂肪酸酸化してアセチルCoAを生成する細胞内の代謝経路。アセチルCoAクエン酸回路に組み込まれ、細胞のエネルギー源となるATPが産生される。βは、脂肪酸のβ位(末端カルボキシル基から2番目)の炭素順次酸化されることから。
[補説]β酸化は、遊離脂肪酸補酵素A(CoA)がチオエステル結合した脂肪酸アシルCoAを発物質として、ミトコンドリア内で4段階の反応を繰り返しながら行われる。1サイクルあたり2個の炭素原子が脂肪酸から切り離されてアセチルCoAが生成される。脂肪酸の炭素数が2nの場合、最終的にn個のアセチルCoAが生成される。

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化学辞典 第2版 「β酸化」の解説

β酸化
ベータサンカ
β oxidation

脂肪酸のカルボキシル基のβ位の炭素が酸化されて分解すること.図のように回路を一まわりするごとに脂肪酸の炭素数が2個ずつ短くなる過程で,この間に生成されるアセチルCoAが,トリカルボン酸サイクルと炭素間結合の生成系に利用される.β酸化に関与する酵素は,ミトコンドリア細胞膜に存在している.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「β酸化」の意味・わかりやすい解説

β酸化
ベータさんか
β-oxidation

生体内における脂肪酸の酸化形式の一つ。カルボキシル基側から炭素が2個ずつ切れてアセチル補酵素Aが生成され,その際に ATP (アデノシン三リン酸) 5個がつくられる。 C18 脂肪酸を例にあげると,切断が8回行われて (5×8-1) 個の ATPができる。この差引いた1個は反応の最初に利用される分である。β酸化によって生じた補酵素Aは,さらに TCA回路で酸化利用される。

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栄養・生化学辞典 「β酸化」の解説

β酸化

 脂肪酸の代謝経路の一つで,脂肪酸のカルボキシル基のある側から,炭素2個ずつが切断されてアセチルCoAになるという経路.ミトコンドリア内に酵素系が存在する.

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百科事典マイペディア 「β酸化」の意味・わかりやすい解説

β酸化【ベータさんか】

脂肪酸

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世界大百科事典(旧版)内のβ酸化の言及

【呼吸】より

…解糖系の諸酵素は細胞質の可溶性画分にあると考えられているが,細胞質中の微細構造に結合していると主張する研究者もある。真核生物では,クエン酸回路,β酸化,および電子伝達系の諸酵素はミトコンドリアに含まれている。赤血球や肝臓および多くの植物の組織では,グルコースの一部は解糖系とは異なるペントースリン酸回路(細胞質の可溶性画分にある)によって完全酸化を受ける(図3)。…

※「β酸化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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