アイスランド低気圧(読み)アイスランドテイキアツ(その他表記)Icelandic low

デジタル大辞泉 「アイスランド低気圧」の意味・読み・例文・類語

アイスランド‐ていきあつ【アイスランド低気圧】

北大西洋アイスランド中心とする海域に、ほぼ定常的に存在する大きな低気圧太平洋アリューシャン低気圧と同じく、亜寒帯低圧帯に属す。冬に最も発達し、夏は中心がやや東に移動して分裂し、カナダバフィン島付近に別の低気圧が現れる。

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改訂新版 世界大百科事典 「アイスランド低気圧」の意味・わかりやすい解説

アイスランド低気圧 (アイスランドていきあつ)
Icelandic low

太平洋のアリューシャン低気圧に対応する半永久的な低気圧。北米大陸やメキシコ湾で発生する低気圧は北米大陸東岸を北東に進み,発達して,アイスランド島を中心にした海域でその最終段階をおえる。かくてこの海域ではほとんど常に大きな低気圧があって,特有な天候が現れる。月平均の海面気圧分布図を描くと冬季半径2000kmの大低気圧がみられる。夏季は中心が少し東にずれ,半径は小さくなり,カナダのバフィン島に別の低気圧の中心が現れ,二つに分裂している。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アイスランド低気圧」の意味・わかりやすい解説

アイスランド低気圧
アイスランドていきあつ
Icelandic low

北半球亜寒帯低圧帯のうち,アイスランドとグリーンランドの間にほぼ一年中存在する大規模な低気圧。冬季に最も発達し,北ヨーロッパ,北部カナダと北極海の一部を覆う。夏季には北極海の中央部にかなり広い高圧部が発達するために後退し,南下する。この低気圧は北半球全体の天候に影響を与える。特に冬季に,北アメリカ大陸や北大西洋の西部地方からヨーロッパへ移動してくる低気圧群はアイスランド南方で最も優勢となり,北ヨーロッパや中央ヨーロッパに風雨をもたらす。夏季は冬季に比べると弱くなり,数も少なくなる。

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世界大百科事典(旧版)内のアイスランド低気圧の言及

【フランス】より

…停滞性気団のうち,南のアゾレス高気圧は高温・乾燥で,冬はサハラ砂漠まで後退するが,夏はフランス南部まで覆う。北のアイスランド低気圧は低温・湿潤で,直接フランスを支配するわけではないが,夏季にこれが強ければ冷夏で雨が多くなり,冬季に弱ければ厳寒で晴天が多くなるなどの影響を与える。もう一つの停滞性気団は,夏は低圧帯となり,冬は高気圧となって東から張り出してくるシベリア気団である。…

※「アイスランド低気圧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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