地球を1周する大規模な上空の偏西風の流れは,アジア大陸の地形と,アジア大陸と北太平洋上の間の温度差の影響で,南北に大きく蛇行し,冬季には大陸東岸に停滞性の南北にのびる大きな低圧部,アラスカ上空に停滞性の高圧部をつくる。大陸の東岸から日本付近に発生する地上の低気圧は,この上空の南西の流れに支配されて北東に進んで発達し,アレウト(アリューシャン)列島の海域でその最終段階を終える。比喩的にこの海域は低気圧の墓場とも呼ばれている。かくしてアレウト列島の海上では冬の間,常に大きな低気圧が存在し,特有な天候となる。月平均の海面気圧分布図を描くと,冬は半径2000km以上の大きな低気圧となる。これをアリューシャン低気圧と呼んでいる。夏季は上空の流れが変化し,海面上では低気圧活動があって雲も多いが,平均をとるとアリューシャン低気圧は弱まり小さくなって認め難い。
執筆者:斎藤 直輔
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