改訂新版 世界大百科事典 「アオジタトカゲ」の意味・わかりやすい解説
アオジタトカゲ
common blue-tongued skink
Tiliqua scincoides
鮮やかなコバルトブルーの舌をもつスキンク科のトカゲ。オーストラリアの北部,東部,南東部に分布し,森林,草原,海岸付近から乾燥した荒地までさまざまな環境に生息する。餌も変化に富み,各種昆虫類,カタツムリなどの動物質と,花や果実などの植物質との雑食性。スキンク類の中では大型で大きいものは全長50cmに達し,尾はその1/3ほど。四肢が短く胴も太くて行動はあまり敏しょうでないが,体は大型の硬いうろこで守られている。危険が迫ると胴を扁平にして四肢を突っ張り,シューッと音を立てて威嚇し,大きく開いた口から鮮やかな青色の幅広い舌を突き出す。これで敵を脅すとともに青い舌は,本種が歯の立たない堅いうろこの持主であることの標識色となる。卵胎生で,夏(1月)に薄膜に包まれた6~25匹の10~15cmほどの大きな子を生む。アオジタトカゲ類は1種がニューギニア島,モルッカ諸島に生息する以外は,11種がタスマニアを含むオーストラリア全域に分布する。そのうちホソアオジタトカゲT.branchialisは胴も尾も細長い種類で,またカタツムリをかみ砕くため大きな歯をもつものもある。いずれも無毒である。
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報