改訂新版 世界大百科事典 「アオネカズラ」の意味・わかりやすい解説
アオネカズラ
Polypodium niponicum Mett.
初秋に開葉し,盛夏に落葉する,ウラボシ科の着生多年生シダ植物。根茎は長くはい,灰緑色で径4~5mm,鱗片は早く落ちるので,灰緑色の根茎がむき出しの状態になる。和名の青根カズラは,これに由来する。葉は単羽状深裂,広披針形から狭卵形,長さ15~40cm,表裏ともに細かい白色の軟毛でおおわれ,触れるとビロードのような手ざわりがある。葉面は白緑色,葉脈は羽軸の両側に1列の大きな網目をつくり,それぞれの網目内に1本の遊離脈があり,その上にかなり大型の胞子囊群をつける。包膜はない。胞子は黄色で,冬の終りに熟す。関東以西の暖地の岩壁や樹幹に見られ,石灰岩地やケイ岩地域では群生することがある。さらに中国にも分布している。近縁種に大型のタイワンアオネカズラやアマミアオネカズラがあり,ともに観賞用に栽培される。
執筆者:光田 重幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報