改訂新版 世界大百科事典 「アクシスジカ」の意味・わかりやすい解説
アクシスジカ
axis deer
chital
Cervus axis(=Axis axis)
白斑がある美しい偶蹄目シカ科の哺乳類。ネパール,シッキムからインド,スリランカに分布。肩高75~97cm,体長1.1~1.4m,体重75~100kg。角は長くときに1mに達し3本の枝に分かれる。雌は角が無い。体毛は短く赤褐色,顔とのど,四肢の下部が白く,夏毛,冬毛とも首と胴に鮮明な小白点を密に散布する。尾はシカ類としては長く(20~30cm)下面が白い。後足の前面下部に特殊な臭腺がある。開けた草原や疎林に群れですみ,群れはときに100頭以上に達する。おもに昼間活動する。草食性で,ときに葉や果実も食べる。泳ぎがうまく,追われると水中に逃げる。繁殖期は不定,同じ雌がしばしば年2回出産する。妊娠期間210~225日で1腹1~3子を生む。寿命は10~15年。姿が美しいためローマ時代からヨーロッパの公園などで飼われ,1867年にはニュージーランド,69年にはオーストラリアに移入されたほか,ハワイ,ブラジル,アルゼンチンなどにも放され野生化した。ニュージーランドでは増えすぎたため駆除している。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報