日本大百科全書(ニッポニカ) 「アクセルロッド」の意味・わかりやすい解説
アクセルロッド
あくせるろっど
Julius Axelrod
(1912―2004)
アメリカの薬理学者。ニューヨーク生まれ。ニューヨーク市立大学で学び、ジョージ・ワシントン大学で博士号を取得。1955年から国立精神衛生研究所薬理学部長。神経細胞の末端での興奮伝達時における、ノルアドレナリンに代表される神経伝達物質、カテコールアミンの挙動を明らかにした。またカテコールアミン代謝の研究も行い、モノアミンオキシダーゼ(MAO)、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)を発見した。これらの業績により、イギリスのカッツ、スウェーデンのオイラーとともに、1970年にノーベル医学生理学賞を受賞した。その後、ホルモン、免疫グロブリンEなどの細胞外の刺激伝達物質のもつ情報が、細胞膜上のレセプターreceptor(受容体)を介して内部に伝達され、固有の一連の応答反応が引き起こされる機構、すなわち、シグナル伝達機構の解明へと研究の矛先を転じた。1984年以降国立精神衛生研究所客員研究員、1996年同研究所名誉研究員となった。
[石館三枝子]