日本大百科全書(ニッポニカ) 「アトラントロプス」の意味・わかりやすい解説
アトラントロプス
あとらんとろぷす
Atlanthropus
北アフリカ出土の原人。1954~1955年、アルジェリアのテルニフィーヌで3個の下顎骨(かがくこつ)と1片の頭頂骨が発見された。かなり頑丈な形態をしており、北京(ペキン)原人と通じるものがあるため、発見者のアランブールC. Arambourgは、発見地の南側に連なるアトラス山脈にちなんで、アトラントロプス・マウリタニクスと命名した。伴出した動物の骨から、前期カマシアン雨期のもので、更新世(洪積世)中期初頭に属すとみなされた。原始的な両面握斧(あくふ)、掻器(そうき)などアシュレアン前期の石器が多数随伴して発見された。なお、モロッコのカサブランカ付近で1933年に発見されたラバト人、1955年発見のカサブランカ人(シディ・アブデルラーマン)も同類とみられる。
[香原志勢]