日本大百科全書(ニッポニカ) 「アフガン」の意味・わかりやすい解説
アフガン
あふがん
Afghan
アフガニスタン全人口の50~60%を占める民族で、パターンPathan、プクトゥンPukhtun、パシュトゥンPashtunともいう。広義にはアフガニスタンに住む全住民を包括した呼称である。浅黒い皮膚に黒い髪をもった、誇り高く勇猛な民族で、国家統一の中軸となり、現在も指導的地位のほとんどを占めている。かつてインダス川流域から移住してきたアーリア系民族であり、インド・ヨーロッパ語族の東部イラン語派に属するパシュトー語を日常語とする。元来は遊牧民で、半乾燥の厳しい自然環境のなかで、南部の丘陵や中央部の高原地帯を移動しながら、ヒツジ、ヤギ中心の遊牧生活を送った。今日でも、遊牧民の伝統は残し、羊毛から特産品のじゅうたんがつくられるが、多くは都市住民、定住農耕民となった。彼らの多くは、コーランの教えに忠実なスンニー派のイスラム教徒である。一夫多妻が認められてはいるものの、ほとんどが今日では単婚である。伝統生活に固執し、男女の行動様式の相違を強調し、都市部でも、女性は外出時には伝統的衣装であるチャードリーを頭からすっぽりかぶって人目に触れないようにする。
[片多 順]