アフマッド(英語表記)Aḥmad

改訂新版 世界大百科事典 「アフマッド」の意味・わかりやすい解説

アフマッド (阿合馬
)
Aḥmad
生没年:?-1282

中国,元初のウイグル人の財務長官。アハマとも呼ばれる。シル・ダリア河畔のフェナーケットの出身。チャビル(察必,順聖皇后)の縁でフビライに認められ,財政的手腕によって約20年間,政府の実権を掌握した。新設の財政府の制国用使司を尚書省に昇格させてその宰相となり,勢力旧来の行政府の中書省を圧した。西域の商人を抜擢して強行した北中国の戸口調査,紙幣制度の整備(中統鈔を発行して南宋の会子と兌換した)などの政策は,国家財政の安定に資した一方,中国人の反発をまねいた。王著らによって暗殺されると,姦臣とされ一族も多く処刑された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アフマッド」の意味・わかりやすい解説

アフマッド(阿合馬)
アフマッド
Ahmad, Benēkethi

[生]?
[没]至元19(1282)
中国,元の財務長官。アハマともいう。西域ベネーケット出身。世祖フビライ・ハン信任を得て,中統3 (1262) 年,中書省左右部兼諸路都転運使に就任。次いで至元1 (64) 年,同省平章政事に就任したが,彼は財政権保持のため制国用使司を設立 (66) ,長官職を兼任,次いでそれを中書省から分離尚書省に昇格させ (70) ,財政権を独裁,政府内第1の実力を獲得。農器官売,塩法改正,銀鉱開発などの専売制の強化を行なったほか,戸口調査を行い,同7年戸籍を作成して税役基準とするなど,国家財源捻出に実績をあげ,元朝経済政策の大本を定めた。しかし中国伝統の重農・抑商政策と対立する重商主義政策などが漢人政治家,知識人の敵意を招き,王著,高和尚のために殺された。

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